more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

跛行の診断にグレードを用いるアイデア

Twitterで見つけた、興味深い着想のお話。

 

 

跛行の程度に段階を設けて評価しようという発想。きっといままでなかったのでしょうから、この取り組みでよりわかりやすくなるのかもしれません。自然災害の警戒レベルや連投でグレード5までありますので、ご興味のある方は上記リンクから。

 

まさしくアイデアの時点ですし、まして外野から何か申し上げるのは多分に余計なお世話&やぶへびなのでしょうが(Twitterはこういう前置き的文脈をつくるのには適してないなと思いつつ)、自分なりに感じたことを少しだけ。

 

ツイートされたご本人が指摘している通り、評価者の主観的な面が当然にして入り込みますので、複数人で基準への認識を揃えていくことが実運用での課題になるのではと推察します。

 

例えばグレード1:歩様異常に一貫性がない、とグレード2:ある状況下(荷重、回転、登坂、硬地)では歩様異常に一貫性がある、の境目をどう見極めるか。

 

実際に確かめるにはおそらくある程度曳いてみる必要があるはずで、その判断の際の条件を以下のように整えておく必要がありそうです。思い付きです。

  • どこでチェックするか(地面の硬さや凹凸)
  • 曳いている時間(時間の経過で改善、悪化する経緯はジャッジに含めるのか)
  • 曳くスピード(歩かせるスピードの速さで)

現場ではすでに、暗黙のうちに上記のような条件を整えて観察する慣習があるかもしれません。その場合は明示的に「言語化」することで評価の精度は上がってくるはずです。…曳くスピード自体、グレード2の「ある状況下」に含めてしまってもよいかもしれませんね。

 

以前、某ウイスキー工場の見学に行った際に、工場間の味のばらつきについて質問したことがあり、もちろん詳細を話してもらえるとは思ってないわけですが、工場間で官能検査(直接味をみる)を担当する方がたえず情報共有していると回答いただいたことがあります。

 

一般的なアプローチから推測するに、上記のような判定基準を設けチェックシートをつくり、各評価者が評価を記入した後で、その判断に至った根拠や思考プロセスなどを話し合う、といった運用場面が想像できます。

 

もし具体的に跛行診断にグレードを導入するなら、こういった問題に直面しつつ、関係者(複数の評価者や評価を受け取るひと)のコミュニケーション量を増やしながら、判断基準のすり合わせ、醸成を行っていくことになるのではないかなと思っています。跛行グレードで何を端的に把握したいか、という点を練り上げることになるのでしょうね。

 

また、経過観察に伴って評価すればグレードが上下するでしょうし、連続的にデータを取っていくことで、個体の傾向を越えて競走馬共通の傾向を見つけることもできるかもしれません。定性評価のデータ化ではこうした狙いを持つことも可能でしょう。

 

…先々を考えすぎたかな。導入して定着していくこと自体が大変ですからね。具体的な運用が始まるのか楽しみに待ちたいと思います。余計なおせっかいでございました。