more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第81回 桜花賞

ソダシ、白毛の2歳チャンピオンが再び阪神マイルを制しました。

メイケイエールが行き切った5ハロン目の中間地点あたり、ペースが落ちて吉田隼人が繊細に踏んだブレーキと、3、4コーナーのコーナー半径の緩みを敏感に察知したようで、ソダシはストライドを縮めながら右→左へ手前をスイッチしていました。

f:id:barnyard:20210418033122p:plain

2021桜花賞、右回りのコーナー途中で左手前で走るソダシ

その後4コーナーの加速する場面で右へスイッチ、前の馬のひとつ外に展開してさらに加速する瞬間に再び左へスイッチ。

阪神外回り3、4コーナー付近での手前替えは珍しい出来事ではありませんが、状況に対しての適切な所作、レースの運び方が上手であることの示すワンシーンでしょう。アーモンドアイの桜花賞は未完成であるが故の頻繁な手前替えが見られたと理解していまして、それはそれで印象的なアクションだったわけですが、ソダシのそれはクレバーさが目立つそれと受け取っております。

視界が開けてからワンテンポおいての吉田隼人の仕掛け。大外から外枠のコースロスを何とか切り返してきたサトノレイナスが迫りましたが、この追い込みを再び退けて桜の女王となりました。いやーもう少しで差し切れたんだけどなー、というのが個人的な感想でございます。

f:id:barnyard:20210418033253p:plain

2021年桜花賞、粘り込むソダシと大外を追い込むサトノレイナス

公式レースラップ

12.1-10.8-11.2-11.1-11.6-11.2-11.2-11.9

ソダシの阪神ジュベナイルフィリーズも合わせて。

12.4-10.8-11.7-11.9-11.9-11.2-11.4-11.8

当日は時計の速い馬場

2勝クラスのマイルで1:32.2、準メインの大阪-ハンブルクカップがレコード、そして何より桜花賞の走破タイムが1:31.1のレコード。当日の芝はとにかく速かったですね。3ハロンスパートの前残りもストライドをめいっぱい活かした外差しも可能という高速馬場。

馬場の反力を受けつつスピードを持続できるタイプを選別する方針で予想に臨むこととしました。それでも2強といいますか、2歳G1の結果は上位評価。おおむね見立ては上手くいったようです。

逃げ馬の不明確さとメイケイエール

桜花賞ウィークの話題のひとつはメイケイエール横山典弘の動向。読めないねぇ、というトーンが大勢でした。実際に鞍上からは「祈る」「お願いする」といった、ゴールドシップ以来のコメントが聞こえてきていましたからね。

チューリップ賞の前半を踏まえて、個人的にはスムーズな逃げしか活路がないだろうと思っていました。遅く走るのが苦手というより、他馬に先んじないと気が済まないという、心のギアが一つしかないタイプなのでしょう。

でもそれをやり切った時の排気量の大きさは、一発の可能性を秘めているとも。少ない可能性は捨てきれませんでしたね。

ストゥーディが先頭を取り切って、もう少しで抑えが効くかなと思ったあたりで馬群の外からメイケイエール。これしかできないというストライドで先頭に立ってしまいました。

トロールビデオがわかりやすいと思います、馬群の中で我慢できずに他馬とのわずかな間隙をこじ開けるように大外に出てきました。鞍上もこれしかなかったんでしょう。

気性はスプリンターだけどフィジカルはマイラー、といった表現でピントが合っているでしょうか。一度スプリント戦にでてしまったら元には戻れないでしょうね。最下位という結果以上に引き続き難しい課題を抱えるのだなと。。。

サトノレイナスは大外が堪えた僅差2着

18番枠を確認した瞬間にああ…と呻いておりました。並びもマイナスに見えましたしね。
17番ホウオウイクセル、16番ソングラインともこの条件下で先行するタイプではないと読んでいましたので、スタートしてからインに寄せることがかなり困難であろうと。さらにゲートが遅めという本馬の特徴がプラスされますから。むーん。それでも外差しが有効かつスローにならない、という見立てとともに本命にいたしました。

案の定、外にヨレ気味のスタートで初速がつかず。後ろからになったことで3コーナーでインから2頭目までたどり着くことができましたが、縦のポジションは相当捨てた格好になりました。
…まぁ、ソングラインの位置までスタートダッシュがついていたら、メイケイエールのショルダーチャージを受けていた可能性もありますから、何ともですね。

道中は、少しアクセルを踏み込んでポジションを確保しては、その先の進路が開かずアクセルを緩める。直線半ばで前が開けるまで、その繰り返しであったように見て取っています。

ラストの伸び脚は際立っていましたが、やっぱりポジションロスが堪えましたね。ソダシもあれしかないという好位のイン追走でしたが、こちらもこれしかできないという後方待機策になってしまったと思っています。

週明け、一瞬だけ次走ダービーという報道がでていましたが、どうやらオークスに落ち着いた模様。府中2400のバイアスからするとスタートに課題が残りそうですが、よりゆっくり道中を進められることはプラスに働くかな。次こそリベンジと思っています。

レース前の見立て

馬場

  • 時計の出る速い馬場、内外はペース次第

先行馬と序盤のペース

  • ストライプが逃げられるか、ストゥーディがハナを狙う可能性、ただしメイケイエール?
  • ペースは読めないが、ソダシは好位のインでペースに合わせて縦のポジションを調整

隊列やレース展開

  • サトノレイナスは後方のアウト、ソングラインとコース取りが被る?
  • エンスージアズム、アールドヴィーヴルが中団からきれいに外へ出せる可能性
  • ヨカヨカ、シゲルピンクルビー、ミニーアイルあたりが先行策でソダシの壁に?
  • ファインルージュ、エリザベスタワーは中団インで待機、奏功するかも

各馬の評価の上げ下げ

  • ソダシは外せない、サトノレイナスも外せない、上手くいったときのメイケイエールが怖い
  • メイケイエール、アールドヴィーヴルは少しギリギリ感
  • キズナのスピード持続力が馬場とフィットするかも(ファインルージュ、ソングライン)
  • 返し馬でアカイトリノムスメの評価を上方修正

勝敗に強く影響するであろうファクター

  • 速い馬場でスピードを持続する力、リピーター

最後に

オジュウチョウサンからメイショウダッサイへの世代交代。ハミが抜けず前がかりのチャンピオン、安定していたその飛越が乱れスタミナをロスしていく様は、アスリートのピーキングの難しさを改めて示していたように思います。とはいえ10歳ですからね。現役続行となるのか、気になります。

桜花賞の回顧記事で翌週の土曜の話をしているくらい、書く時間がなかなか取れませんね。通い始めた大学の授業は当初の期待以上で、体系立てられた知識を順々に伝えてもらうというリズムを何とも新鮮に受け止めております。問いの立て方、解き方、答え。全部先生が用意してくれますからね。仕事は全部自分で手探りしないといけませんから。当たり前かな。その当たり前を受け取りなおしているところですね。

フォローしている予想家の皆さん、その分析の精度がすごく高く感じているところです。競馬の予想には、問いの立て方、解き方、答えを好き勝手に組み立てられる面白さを見出してきましたが、ここ数年は特に、その分析に頼った上で予想のピントを合わせた方が面白く取り組めるなぁと思うようになっています。

で、皐月賞。枠順がでても土日の天候がわからずですので、週中は全く予想はせず。いまいま土曜の深夜ですが、東京地方はなかなかに強い降雨がありました。西船橋の現場ではどれくらい影響が残るでしょうか。

馬場コンディションはある程度もっている前提で。エフフォーリアもダノンザキッドも、4コーナーをタイトに回るイメージがあまり湧いておらず。1コーナーでもインに寄せ過ぎず、ストライドロスを抑えて4角3~5番手という流れを作り出すのではないかなとイメージしています。

雨がなければ迷わずにエフフォーリア>ダノンザキッドなんですけどね。馬場の質でいろいろ変わってくるなと。あとはタイトルホルダー、インがよければアドマイヤハダル、馬場悪化でステラヴェローチェ、アサマノイタズラ、あとはヨーホーレイクの成長度かな。当日返し馬まで迷うのがいい楽しみ方だと心得て取り組むつもりです。

…エフフォーリアのひとつ外という枠が、ダノンザキッドにアドバンテージをもたらすイメージももっていまして。もたらすというよりは、川田がアドバンテージに変えると言う方が適切かもしれません。いまの川田の充実ぶりは見逃せないですものね。