more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第123回 エクリプスS

ガイヤース、今年3連勝でライバルを退けました。

先行策にアドバンテージがあるコース、そしてレースを使ってここに臨んだこともまたアドバンテージだったでしょう。エネイブルが次走に照準を合わせながらのレース選択だったとはいえ、自分でペースを作っての逃げ切り、お見事でした。

JRA発表のレース結果ページです。

www.jra.go.jp

公式レースラップ

Racing TV のアカウントが各馬のラップをツイートしていました。そちらを紹介するのがよさそうです。

 

小数点第2位を四捨五入して、日本的に均したガイヤースのラップがこちら。
14.5-11.6-11.5-11.7-11.9-13.2-11.4-11.9-12.8-13.9

日本ではなかなか見られないラップバランス

突っ込んでますね。バックストレッチといいますか、直線前の急なコーナーまで、ガイヤースはなかなか主張激しくペースをリードしていました。ビュイックはガイヤースの気性を尊重する手綱捌き。ペースを抑え込まず、可能な範囲でリラックスできないものですかね、くらいのやり取りを続けていたように見えました。

13.2がちょうど急なコーナーを回っているところ。平たく言うとそのコーナー以外は終始スパートしているような状態でしょう。サンダウンは直線が全部登り坂ですので、11.4-11.9-12.8-13.9のラップは、登り始めてすぐに全力でスパートし、どれだけ粘り込めるかというシンプルかつ雄々しい競馬。馬場状態がよいのでしょう、エクイターフで実現しているような速いラップの連続も大きな特徴と思います。

日本でラスト2ハロンがバテバテになる競馬、めったにお目にかかれない認識です。ぱっと浮かんだのは、2013年札幌記念トウケイヘイロー。札幌競馬場がスタンド改修で、函館で開催したんですよね。そしてあのド不良馬場。…これはこれで別の質を見るべきなのかもしれません。自身がバテていますが、後続は追走でもっとバテる展開という共通点を見出せる、と思っています。以下、トウケイヘイローのレースラップです。

12.6-11.3-12.3-12.8-12.7-12.7-12.4-12.7-13.0-14.0

このペースに対して、ディアドラはグッドスタートからそのまま先行策を取っていました。積極的についていった、ということなのでしょうね。直線グッと下がってしまったのは、そりゃそうだと納得感たっぷりでございます。

エネイブル、女王のタフな差し脚

ディフェンディングチャンピオンであるエネイブルは今季緒戦。ロイヤルアスコットを使ったジャパン、3戦目だったガイヤースに比べるとハンデを背負っていたといえるでしょう。前半は控えたというより、前半のリズムを大事にしつつ離され過ぎないようにした、と表現する方がよいように思います。いやーよく差し込んできましたね。

Racing Postの映像とは別に、エネイブルに注目した映像を見つけました。レース映像も含まれているのですが、上空から撮影しているアングルでしたのでこちらで紹介。3:30過ぎからですね。

www.youtube.com

スクリーンショットでも。各馬の距離感がわかりやすいですね。

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2020年エクリプスS 上空からの映像

次走はキングジョージとのこと。おそらく陣営はこの展開と惜敗のシナリオ、想定内だったように思われます。コロナウイルスの影響から組みにくいローテーション、賞金の減額、こうした条件下でここに出走してきたということの意味。単なるひと叩きで惨敗するわけにもいかないでしょうから。

陣営は十分なパフォーマンスという手ごたえを得ているようです。この一戦でエネイブルの評価がぶれることはないでしょう。そうした関係者の配慮は万国共通なのかもしれませんね。レース後の雰囲気は以下の記事で。

www.racingtv.com

Coral-Eclipse

ジョッキークラブの公式サイトにサンダウン競馬場のページがあるのですが、正式なレース名は「Coral-Eclipse」のようですね。日本だと「エクリプス ステークス」が通称になっていますので、おや?と思ってしまいました。

ステークスという元々の意味は薄れてだいぶ形式的になった印象がありますが、公式な記録では名称を揃えたほうがよいのでは、というのが率直な感想です。

Racecard が超COOL

また、日本でいうレーシングプログラム、あちらでは「Racecard」と呼んでいるようです。この仕上がりが素晴らしいですね。いいなー、こういうのは紙で手元に残したい。デジタルで公開している点は好感、これはJRAではお目にかかっていない認識です。是非お願いしたいです。

ダウンロードページがこちら。

www.thejockeyclub.co.uk

ダウンロードリンクも直で。

issuu.com

最後に

なによりディアドラのチャレンジに感謝しなければいけません。今年、海外レースの馬券購入が可能になるほぼ唯一の可能性を保持した馬の始動戦でしたからね。楽しみを増やしてくれたことは素晴らしく。ぜひ無事に凱旋門賞に挑んでほしいと思います。

それぞれ順調なら、おそらく凱旋門賞で再び相対することになるのでしょう。予想の下敷きとなるレースになるかもしれませんね。

また、日本でラスト2ハロンがバテ合いになったレースがもうひとつ思い当たっていまして。勝ち馬は逃げていませんが、2017年天皇賞(秋)キタサンブラックですね。トウケイヘイローもそうですが、どちらも不良馬場。日本だと最後の直線でスタミナの底を問うレースは、こういうコンディションじゃないと発生しにくいのかもしれません。

…例えで出した2頭の鞍上が同じということに、後から気が付いて自分でびっくりしております。欧州のペースを最も経験している日本人ジョッキーですものね。