more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第81回 オークス

デアリングタクト、強い強い2冠でした。疑ってすみませんでした。

視界がクリアになってからの脚色は1頭異なっていました。自身の上り33.1。4コーナー4番手の2頭が2、3着に粘り込んでいますから、レース全体の流れを覆せたのはデアリングタクトだけ、という端的な語り方も可能でしょう。

1コーナー手前でウインマイティーに、1、2コーナー中間ではミヤマザクラに前に入られ、ひとつ外リアアメリアに挟まれる格好。2コーナー手前で首を上げる姿、武豊の洗礼だなぁと思って観ていました。前半でかなり後方待機を強いられた、ともいえます。

桜花賞の道中同様、松山は鞍下の力を信頼して後方に留まる選択。返し馬あたりからの入れ込みのきつさ、本人にとってかなりの不安材料であったでしょう。こちらも父エピファネイアのダービーを思い出しますしね。

松山が上手かったのは3コーナーから。インを少しだけ開けて、インでもアウトでもどちらにもハンドルが切れるように選択肢を保ち続けました。直線にはいっても、右鞭の田辺の背後から定石通り外を狙いつつ、鞭とは逆に外へ寄れるマルターズディオサの動きをみてインへハンドルを切り替えました。局面の動作としては目立ちませんが、松山も抜かりなし。勝つべくして勝ったともいえそうです。

1週前に立ち写真を見たときから当日まで、基本は2冠を前提に情報収取していました。イレ込みと発汗、後方であろうポジショニング、このあたりを嫌って直前で評価を下げたのですが、完全に裏目でした。恐れ入りました。

公式レースラップ

12.3-11.1-12.0-12.3-12.1-12.7-13.0-12.6-12.1-11.2-11.2-11.8

スマイルカナの逃げはスタミナ不安ありきだったか

大方の予想通り、スマイルカナの逃げになりましたが、コーナーにはいってすぐに減速。これを受けてでしょう、外枠のウインマリリンが1、2コーナー中間で外から被せていきました。横山のけん制、効いていましたね。スマイルカナもだいぶびっくりしていたようですね、これで5ハロン目の微妙な加速ラップが生じ、ペースが落ち着き過ぎずに済みました。

が、その後がスロー。エクイターフの13.0ですから完全にひと息はいっていますね。柴田大知のプランはどのあたりにあったのでしょう。前半差し込まれた分、どこかでスローに落としたいという心理が働いたかもしれません。消極的?とも思ったのですが、そもそもスマイルカナ自身のスタミナに不安があったなら妥当な範囲の判断とも受け取れます。

3コーナー過ぎからクラヴァシュドールの捲り

残り1000からアクセルを踏むデムーロは、中山ではよく見られますが、さすがにこのタイミングは。。。そのままの追走では勝負にならない、アドバンテージを取るために早めにラップをあげる判断にしたと推察されます。ただ、レース後のコメントが「硬い馬場を気にしていた」ですから、勝負するなら早仕掛けの前残りしかない、という消極寄りの判断だったのでしょう。

結果としてレースは、急→緩→急、のメリハリと、4コーナーからペースがあがるロングスパート勝負に。スマイルカナにとってこのもう一度の加速が難しいと思い、もっと道中を流していくイメージだったのですが、この読みを違えてしまったことでだいぶ事前に想定していたペースとは違うものになりました。

…横山の立ち回りが上回ったというべきかな。13.0でじっとしていますから。

前受けする力と、ギアチェンジの巧拙と加速力、そして末脚の持続力と。総合力が問われるレース内容となりました。こういう言い方をするとG1にふさわしいと思えますね、2冠牝馬の強さも際立ちます。

ミスオンワード以来の無敗での牝馬2冠

その名前を持ち出すと連闘でダービー?と思ってしまいますが、そのくらい昔に遡ることになるのかと改めて。

調べてみると、武田師(タケブンさんですね)が押し切られる形でダービー出走になったようですね。さすがにこのご時世、そうした世論もオーナーシップもないでしょう。現場の経験がそのまま不特定多数の共通認識になるには、一度は具体的なバッドケースを目前にしないとわからないのでしょう。タケブンさんには惨敗する未来が見えていたのでしょうね。

ミスオンワードは8戦目でオークス制覇。隔世の感があります。今年の無敗の2冠馬はその半分。3冠の向こう側もにらんで、秋は秋華賞直行でもおかしくないですね。

本命ミヤマザクラは7着

もう少し前受けすると思ったんですけどね。1コーナーまでの動きは、下げ過ぎずにインを取る所作。そうかー。結果として4コーナーまでインをキープできたメリットと、クイーンカップを34.3で上がった馬で11.2-11.2-11.8の前残りラップを追いかけるデメリットが発生しました。

自身最速の上りですが、デアリングタクトと近しい位置から末脚勝負では分が悪いですものね。こちらの目のつけ方がよくなかったと反省しているところです。

リアアメリアが復活の4着

阪神JFは外枠スポイル、桜花賞は馬場のミスマッチ。アルテミスSからイメージされた成長曲線にようやく近づくパフォーマンスを見ることができました。それでも何とか維持できた、という印象の馬体。陣営の苦労が除く一方、もう一回りパンプアップできるフレームを持っているように見えるんですよね。3冠阻止成るでしょうか。

デゼルは成長途上の仕上がりで11着

個人的にはどうして2番人気だったのだろう、という感想です。1週前の立ち写真で評価を下げようと思っていましたし、枠順がでてよりそれが確信に変わりました。

確かにスイートピーSは鮮やかでしたが、スローの切れ味勝負でというとてもトライアルな内容。まして大外一気ですからね。今回は最内枠からの立ち回りも求められますし、レース中で要求される要素がぐっと増えてしまう可能性が高いだろうと。

ひと夏越してどうなるでしょう。じっくり立て直してほしいところです。

最後に

週末は予想の一方で、Numberのダービー特集に目を通しておりました。競馬ファンの外側向けにちゃんとシグナルがでているなと、安心感も覚えますね。JRAの売り上げが下がるのに並行して、特集が組まれない時期がありましたからね。

奥さんに頼んでSweetという女性誌もゲット。恥ずかしさというより、気づくのが遅れて平日の日中にコンビニに向かってもらうという。そこまでダービーリボンにこだわっているわけでもないのですが、こんな時期ですと物理的に残るものを求めたくなるのでしょうか。

その意味ではGallopのペーパークラフトはいいタイミングで企画されたといえるかもしれません。紙媒体が付録合戦になるのも賛否ありそうですけどね(DVDはレース画質の問題で期待感が低かった記憶があります)。

さぁ、ダービーウィーク。ダービーへようこそとは言いにくい状況下ですが、思い切り堪能したいですね。