ラウダシオン、も強かったのですがミルコの勝ちという印象ですね。
出負け気味のスタートから、ひとりだけプッシュしていきました。おそらくミルコは決めていたのでしょう。レシステンシアの調子、先行馬の動向、鞍下の特徴などなどを踏まえて、前々で立ち回るのがプラスと判断していたのでしょうね。行けそうならアクセルを踏むタイプですものね。
一部の解説にあった通り、レシステンシアは本調子ではなかったと思います。渋馬場の桜花賞から疲労を取ることでタイムアップとなってしまったのでしょう。追い切りも軽めでしたからね。
おそらくミルコはそれも見越してびっちりマークにいったのでしょう。逃げや先行で結果を出しているハーモニーマゼランやボンオムトゥックにもう少し前へのプレッシャーを期待していたんですけどね。
3コーナーの1、2番手がそのまま1、2着。前残りバイアスのある馬場と結論付けたくもなりますが、おそらく秋以降1400寄りに活躍の場を移すであろう2頭。その特性が明確なアドバンテージとして表れたレースでもあったのかなと思っています。
公式レースラップ
12.3-10.4-11.4-11.9-12.0-11.3-11.2-12.0
比較のため昨年の阪神ジュベナイルフィリーズを。奇しくもレシステンシア、同タイムで走破していました。
12.2-10.5-11.0-11.8-12.0-11.2-11.5-12.5
より繊細だったルメールの逃げ
レシステンシアのチューリップ賞は切れ負けした格好の3着、溜めた状態でのヨーイドンでは分が悪いことが露呈した形でした。その後の乗り替わりは武豊→ルメールですから、二の轍を踏む2人ではないなと。ラスト1ハロンが大幅な失速ラップになるようにペースメイクしてくるだろうと思っていましたし、実際にそうなりました。
3ハロン目にしっかりとブレーキが効いているのが今回。前半5ハロンの減速がよりなだらかになっていること、ここにルメール乗り替わりの特徴が表れていると思います。昨年のリーディングジョッキーに注文をつける騎乗、相応のリスクを取りに行けるジョッキーがどれだけいるか。ルメール確保のけん制効果もありそうですね。
もしラウダシオンが前半に併せてこなければ、数字の差に表れたかはともかく、もっと楽にこのラップを刻んでいたでしょう。このけん制と馬場バイアスが織り交ざって、万全の出来でないながらも直線の登坂で11.2が計時できたとみています。
「目標になるのは仕方ない」とは松下師のコメント。端的に、ここに集約されていますね。
ラウダシオンの鞍上推移と英才教育
その登坂で2歳女王を交わしたのがラウダシオン。レース後にやられたーとぼんやりしながら思い出したのは小倉2歳S。おそらく勝ちパターンではない後方待機策から直線だけで一気に差を詰めて3着。スタートから一気にギアを上げないよう、教え込みつつの重賞挑戦と見ていまして、馬券も外していたんですよね。
もみじSはルメールへ乗り替わっての距離延長。道中でしっかり折り合いをつけての差し切りでした。年が明けて、クロッカスSは鞍上武豊で逃げ切り。促して先頭に立ちつつマイペースからちゃんと末脚を伸ばし切っていました。…このときもハーモニーマゼランは番手に控えていますね。終わった後で気が付くのはダメな証拠です。
福永→武豊→ルメール。逃げも差しも経験させ、レースでの立ち回りをひとつひとつ積み上げていってのG1チャレンジだったと読み取れます。…これをレースが終わった後で気が付くのは以下略。
前走ファルコンSはそれだけの前提があったうえで、重馬場を勝ちに行く前傾ラップになっていたんですね。そこだけ見ると踏ん張り切れなかったという心象になるのですが、それは短絡に過ぎた判断でした。
英才教育が施されたうえで、デムーロで収穫。一発回答をだすメンタリティはなかなか真似できないですものね。この鞍上を采配し続けた陣営の勝利でもあるでしょう。
…ここまで書いて、NumberWebの平松さんの記事を見つけました。書きながら成績やコメントを調べるので、途中で見つけた格好です。自分なりの見解と符合する斎藤師のコメントもあったような。以下、参考ください。
父リアルインパクトの面影
リアルインパクトの安田記念とフォームの比較をしている週間Gallopのツイート、思った以上にそっくりでしたね。これを見つけるあたりがさすがです。
昨日のNHKマイルCを勝ったラウダシオンと11年安田記念を勝ったときの父リアルインパクトの写真を並べてみました。 pic.twitter.com/Ho3bzZ2l45
— 週刊Gallop (@gallop_keiba) 2020年5月11日
初重賞が初G1で府中1600。父仔とも符合するのはフォームの近さとも関連するのかな。その父の走りのイメージは「1400ベスト」。改めて成績を見てみましたが、マイルでの勝利は安田記念が最初で最後。連覇した阪神カップは1400、ジョージライダーSは惜しくも?1500。1400から1800で惜敗する重賞がいくつもあります。30戦という戦歴から、1400でも惨敗はありますけどね、1400に表れやすいペースに適性があったのでしょう。
ラウダシオンは2年目の世代。その一つ下、2018年の種付け頭数は36頭と落ち込んでいまして、傾向には納得しつつもちょっともったいなさも覚えます。いまいまは南半球にいるようですので、シャトルの難しい時期に当たってしまったなと思いつつ。このあと日本で強く請われる種牡馬になるでしょうか。
ルフトシュトロームはポジションが応えた5着
若干伸びあがり気味のスタートまでは許容範囲だったように見えますが、ひとつ外のソウルトレインが寄れてきたことでダッシュし損ねたように見えています。外から少しずつでもポジションを上げていくイメージでいたのですが、馬群後方に閉じ込められる格好になってしまいました。
外々を回らされても、自分の間合いでペースアップができていたら。地力でもう少し上位に来ていたかもしれませんが、さすがにこれはたらればが過ぎるかな。レシステンシアの周辺で立ち回れなかった時点で勝ちからは遠かったと見るべきでしょう。と自分に反省を促しているところです。
ダミアン・レーンの我慢がある意味凄かったな、という感想もありますね。よくあそこまでアクセル吹かしながら待てるなと。ひとつの特徴として覚えておきたいと思います。
ギルテッドミラー、タイセイビジョンの鞍上の狙いはほぼ同じ
内枠スタートから出していきつつ、逃げ馬の後ろへポジショニング。福永と石橋、好位のインで立ち回るイメージは近しいかったかなと見ています。
決定的に異なっていたのはタイセイビジョン、1枠でかつレシステンシアより内だったことでほぼ間違いなくレシステンシアの直後という、やれることが限られた中での先行策になりました。ストライドが大きめの馬ですので、ルメールのペースを受けつつ、相手に併せて俊敏にシフトアップしなければならないのはなかなか厳しい条件だったでしょう。
さらにかなりかかり気味になってしまったことで勝ち負けから遠のいてしまった印象。今回は条件がかみ合わなかった、という見立てでよいかなと思っています。
最後に
メインのひとつまえ、ブリリアントS。エルデュクラージュ1着、マスターフェンサー2着、サトノティターン3着で決まったわけですが、いずれも府中ダート2100で勝ち鞍があるリピーター。…まぁ、マスターフェンサーはここ以外に特徴を活かせる条件が日本にあまりなさそうではありますが。。。
現状、府中ダート2100のオープンは2つでしょうか。端的にこの条件に重賞が欲しいなと思った次第です。以前はジャパンカップダートがG1というかJpn1で施行されていましたが、G2格、G3格という条件設定は96~99年の武蔵野Sだけのはずで。エムアイブランがなつかしいですね。
地方競馬の番組との整合も考慮する必要はあるのでしょうが、この東京開催で重賞がひとつあると帝王賞の前哨戦という位置づけになることでしょう。アンタレスS、かしわ記念があるじゃないか、という意見はありそうですけどね。
Jpn3といっても遜色ないメンバーとレース内容では?という感想をもったので、言葉にしてみました。現実的に国際グレードの認定というハードルがあることは踏まえつつ、もう少し距離適性の長い馬にもう少し活躍の舞台があったらなぁという願望ですね。