more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第50回 高松宮記念

モズスーパーフレア、繰り上がりでの戴冠となりました。でも自分で競馬を作り切りましたからね、立派な勝利です。

トロールビデオを観ると、スタートから低い姿勢でスタートダッシュを決めるモズスーパーフレアの姿が確認できます。もう馬がわかっていますね。ゲートが開いたら全力疾走するという準備が予めできている証拠と思います。クラウチングスタートとほぼ同意味でしょう。

3コーナーまでに単騎逃げの形を決めてからは、ニュートラルなスピードである意味流すようなコーナリング。馬は全力で突っ込んでいますが、これをフォームを崩さないよう、引っ張るわけではなく上手く制御できているように見えました。このあたりが松若風馬の巧さだったと思っています。

無観客でかつ繰り上がりでの初G1制覇。個人的には昨年の高松宮記念惨敗後、立て直しながら乗ってきたのは松若でしたからね、1年分の苦心が実を結んだ経験は大きいのではと思っています。

本人のコメント通り、次は大歓声の中でのG1制覇が観たいですね。

公式レースラップ

12.1-10.8-11.3-11.4-11.2-11.9

比較として、昨年2019年のカーバンクルS(武豊)とオーシャンSルメール)を。もちろん3つともモズスーパーフレア自身のラップとイコールです。

カーバンクルS
11.7-10.4-10.7-11.2-11.1-11.9

オーシャンS
11.4-10.1-10.8-11.4-11.4-12.0

松若の練り上げられたラップ配分

スタートから3コーナーにかけて下って、直線半ばに急坂。中京1200と中山1200のアンジュレーションはおおよそ似通っています。異なるのは、中山の方が最初の1ハロンで一気に下るのに対し、中京は残り400過ぎまで一貫して下り続けるという点でしょう。

これを考慮すると、ルメールはスタートからアクセル全開にする戦略、対する武豊はスタートダッシュの負荷を抑えつつなだらかなハイペースを演出する意図があるものと読み取れます。

松若はそのどちらでもない配分を試みているように見えますね。2ハロン目以外の最速ラップは残り400から200、ちょうど登坂している箇所になります。先の2名のジョッキーが、3ハロン目を10秒台で踏んでいるのとは対照的でしょう。スパートするピークをレース後半にずらしていることが窺えます。

タワーオブロンドンに惜敗したスプリンターズS、この時のラップはルメール武豊に近しいペース配分でした。
11.9-10.1-10.8-11.3-11.2-11.8

この惜敗を踏まえての松若の戦略、前傾ラップから前後半のバランスへのシフトチェンジだったと思われます。ラブカンプー、ナックビーナスあたりにつつかれると厳しかったでしょうが、結果2番手はセイウンコウセイでしたからね。前日の雨で重馬場だったことも味方したといえそうです。…馬場は織り込み済み、味方につけたというべきでしょうか。いずれにしてもお見事なリードでした。

クリノガウディーは1着入線から4着へ降着

初の1200は問題なくクリア、3番手追走から手にした勝利が残り100の所作でフイになってしまいました。パトロールビデオをみると、ダイアトニックの進路が狭くなり、その内にいたモズスーパーフレアにも玉突きが生じていますね。モズのトモが一瞬インに流れるのが確認できます。

フジの中継では井崎さんから、先頭に立ったことで頼るべき目標がなくなってしまったのでは、という主旨の解説が聞こえました。確かにセイウンコウセイを交わした後、急にインへ寄れています。クリノガウディーは直線で一貫して右手前、和田は終始左鞭、かつ右の手綱で修正し続けて、それであのインへのヨレですから、なかなか厳しいコントロールが要求されたものと思います。

軌道修正だけを考えていたなら過剰な減速になるかもしれず、テン乗りのジョッキーを責めるのは酷というべきでしょうか。…以前の自分の投稿を見直してみたら、東京スポーツ杯でも直線で先頭に立ってからソラを使った、とメモが。ずっとお付き合いする癖なのかもしれませんね。

グランアレグリアは差し脚を伸ばして2着

直線の伸び方は一頭だけ際立っていました。予想の段階では、馬群で揉まれて馬場にてこずって…というマイナスのイメージばかり浮かんでいたのですが、それをすべて覆す末脚でしたね。

おそらく次走はヴィクトリアマイル。これまで見せてきた気性からすると、初の1200を待機策で勝負できたのは大きな収穫。インディチャンプ然り、池添のワンポイントリリーフは頼もしく映ります。府中のマイルG1が楽しみになってきました。

タワーオブロンドン、ダノンスマッシュ、アウィルアウェイは馬場に泣く

藤沢厩舎のもう1頭、タワーオブロンドンは惨敗。きれいな馬場の方がよいのでしょう。こちらもテン乗りの福永でしたが、ルメールであったとしても結果は変わらなかったように思います。パドックを見る限り、ピーキングが難しいのかなと素人なりの印象がありました。

ダノンスマッシュは狙いすました仕上げと映りましたが、こちらももう少し良馬場で走れたらよかったですね。やっぱりもうひとつスケール感と言いますか、馬格がほしいなと思わせます。ドバイ中止で三浦皇成から川田に手が戻りましたが、こちらも鞍上起因の結果ではなかったと思っています。

アウィルアウェイが本命でした。狙い過ぎでしたね。内外の馬場差が少ないと見積もって、内枠スタートでじっとできる差し馬をピックアップしたのですが、逃げ馬がしっかりペースメイクできた重馬場ではまったく出番がありませんでしたね。仕上げはよかったと思いますので、どこか良馬場で。京王杯なら面白いかもですね。

近況とコロナウイルスの影響と

日記的に。年度末の繁忙に加えて、勤め先でリモートワークが始まりまして、なかなか諸業務に追われる1週間でした。競馬の情報は取りつつ、コロナウイルスの情報にもアンテナを張るのが常態化しつつあります。

もはや通常モードが保てないではなく、緊急モードのなかでどれだけいつものアクションが取り得るかという、前提を切り替えて日々を理解する必要があるのでしょう。正常化バイアスが起きてしまう要因は、通常と緊急を切り替える基準がひとや状況によって様々であることにもありそうですね。自粛が要請される、という微妙な日本語が成立しているのもこのためかなと思っています。

欧米の主要国の競馬開催はかなりストップした状態。この中で日本が開催を続行できているのはもはや稀少というべき状況になっています。無観客開催が決定された直後の、賛否が渦巻いていた頃からはあっという間にトーンが変わりました。中山記念の週からですので約1カ月。ごくごく短期間でウイルスが拡散したことが、こんな形で実感できるのですね。

桜花賞皐月賞まで無観客開催が決定。この金曜にはJRA職員1名が感染、川須、藤懸、岩崎の3名のジョッキーが濃厚感染の疑いで乗り替わりとなりました。JRAは相当な囲い込みで何とか開催続行を死守する姿勢を見せています。会見のコメントからはどうなると開催中止になるか、明確な基準は定めていない模様。このあたりは今後の感染者の感染経路などで判断することになるのでしょう。

最後に

まずは大阪杯ですね。予想はこれからですが、逃げ馬が見当たらないという要素からジナンボー、積極策のブラストワンピース、内枠のワグネリアン、サトノソルタス、ラッキーライラック、外枠から出していってのクロノジェネシス、このあたりが気になっています。

スタートが決まれば最内のロードマイウェイも先手を主張する可能性がありますし、内枠が少しずつ出していく分ダノンキングリーがアドバンテージを取り切れないイメージをもっています。ひと工夫必要な予想になりそうですね。

どうやら人間は、不安と感謝を同時に感じることができないようですから、週末の競馬開催に感謝するだけでも違うのかな。ばっちり外出を自粛して、関係者の努力に感謝しつつG1を楽しみたいと思っています。