毎年恒例とはいえ、この記事のタイトルが長くなるのはやむを得ないくらい、忙しい1日でした。
香港国際競走は無事に開催
11月頃はデモによる影響を懸念して開催を危ぶむ声も上がっていましたね。ただ、日本のファンに届く情報には限りがあるでしょうし、各陣営が次々と参戦を決めていく過程を見て、おおよそ安全性には問題ないことは主催者間で確認されたものと推測してはいました。
デモ隊と警察が衝突した香港理工大学のすぐそばにHKJC関連の施設があると知ったときはさすがに大丈夫かと思いましたけどね。GoogleMapで空港から沙田競馬場までのルートなど見てみたのですが、少なくとも香港理工大学は外れていますから、対策も可能だったのかなと。四六時中喧騒が続いているわけではないでしょうからね。
どうやって遠征してきた人馬をフォローアップしたのか。防疫対策でいう「Bubble to Bubble」の安全対策バージョンといえるかな、その詳細がレポートされるなら読んでみたいと思います。
そうそう、HKJCの具体策でファンにもはっきり見えたのは、発走時間の1時間繰り上げ。デモ行進が終わったあと夕方頃に警察との衝突が生じやすいと傾向から繰り上げ判断になったようです。今年はそれが奏功して少し余裕を持った馬券購入になった気がしていますね。あまり喜べないかな。
競馬開催が平和の象徴、とは言ったものです。無事に馬が走れることはある意味バロメーターの機能を果たすのでしょう。来年はコリアカップとコリアスプリントに日本馬の姿も見たいですね。
阪神ジュベナイルフィリーズはレシステンシア
2段ロケットというべきラップで、阪神のきれいな馬場を逃げ切りました。
公式レースラップはこちら。
12.2-10.5-11.0-11.8-12.0-11.2-11.5-12.5
序盤でハナを主張した北村友一の見立てが最大の勝因と思っています。高速馬場とひと言でいうのはシンプルに過ぎる気がしていまして、一度付いたスピードが簡単に減速しないコンディションと言うべきでしょうか。レシステンシアが完歩幅の小さく、ピッチ走法であることもプラスに働いたと思います。
この馬場コンディションを見て取って、かつ鞍下の特徴も理解していて、それらをマッチさせる戦略が事前に思い描けていたかどうか。…うーん、北村はもっとシンプルに「前で」と考えていたかもしれませんね。
少なくとも平均的に速いラップを作っていたら、かえって後続に捕まっていたかもしれず。3、4コーナーの溜めが十分に効いたことが直線の突き放しにつながったと読み取っています。
メジャーエンブレムのクイーンカップに同じラップ構成を見る
回りは逆ですが、2着を5馬身突き放したメジャーエンブレムのクイーンカップ、ラップ構成はよく似ていると思っています。もちろん単純比較するのは慎重であるべきとお断りしつつ。
12.3-10.8-11.3-11.7-11.7-11.2-11.6-11.9
ラスト1ハロンの失速幅が少ないあたりにメジャーエンブレムのタフネスが表れていますね。どちらも後続は千切れて、逃げ馬を上回る上がりが出しにくい傾向も見て取れます(レシステンシアは自身が上がり最速)。
このラップ構成は、ダイワメジャーをフルに活かすポイントなのかもしれません。個人的にこのクイーンカップはとてもお気に入りです。美しいレースでした。
ウオッカのレースレコードをコンマ4秒更新
これはなかなか。。。エクイターフ導入以前の記録として出色だったわけですので、それこそ単純比較は難しいでしょう。アストンマーチャンがよくマイルを逃げ粘ったというレースですし、折り合いを学びながらよくウオッカが差し切ったというレースです。ウオッカファンですからね、簡単には譲りませんよ(何を)。
2着マルターズディオサは押さえていました
サフラン賞の息の長い末脚はG1で活きるものと読んで、穴的に相手に加えていました。田辺がしっかり特徴を活かしてくれましたね。はい、レシステンシアとの組み合わせを持っていなかったのは痛恨。タテ目を押さえていれば100倍というのは。。。今後も同様の展開なら狙いたいところですが、チューリップ賞のような極端なスローからのよーいドンでは着順を落としてくるのかな、という見立てです。
リアアメリア、ウーマンズハートは全く見限れない
アルテミスSが鮮烈でしたので、1番人気は納得しつつ、負けるとしたら外枠だろうと思っていました。鞍上からハープスターが連想できますしね。ハープスターの時より待機勢には難しいラップ、後方一気は相当苦しかったでしょう。
ただ、そもそも自身の走りができなかったと見えていまして。こちらから考え得るのは直前の調教が軽めに映ることと、前走で何とか折り合わせたことがかえってマイナスに働いたこと、あたりでしょうか。直線向いてすぐは動きがバラバラになっていましたので、このあたりも今後の課題になるものと推察しています。まだ未完成と見えますしね。
ウーマンズハートも特徴とアンマッチな展開になったように見えています。新潟2歳が十分末脚を引き出したと考えるなら、直線に向いて逃げ馬の11.2を追いかける再加速は、相当違う質のレース展開でしょう。
ビュイックのリズムはステルヴィオのマイルチャンピオンシップに近しいイメージ。内枠からできるだけ前をとる戦略ですね。ただここで脚を使うタイプではなかったかなと。サリオスが例外なだけで、2歳暮れのハーツクライに急な加減速を求めるのは酷、と理解しています。リスグラシューのようなレースをしていたら、2着はあったかもしれませんが、そりゃ1着を狙いますよね。
次走レシステンシアと当たらずに、それこそクイーンカップならどちらも◎でよいと思うくらい今後の巻き返しを当然のものと構えております。
香港国際競走は日本馬3勝
日本馬3勝は圧巻でした。1999年とはまた違う意味合いを受け取っています。まずはリンクをまとめて。HKJC発表のResultとJRA発表を併記します。ラップはHKJCのSectional Timeを転記しました。
香港ヴァース 24.87-23.06-25.09-24.68-24.04-23.03
THE LONGINES HONG KONG VASE Results - Racing Information - Horse Racing - The Hong Kong Jockey Club
レース結果・回顧:2019年香港ヴァーズ 海外競馬発売 JRA
香港スプリント 23.71-21.86-22.55
レース結果・回顧:2019年香港スプリント 海外競馬発売 JRA
香港マイル 25.13-22.87-22.79-22.46
THE LONGINES HONG KONG MILE Results - Racing Information - Horse Racing - The Hong Kong Jockey Club
レース結果・回顧:2019年香港マイル 海外競馬発売 JRA
香港カップ 26.04-23.98-23.98-23.40-23.12
THE LONGINES HONG KONG CUP Results - Racing Information - Horse Racing - The Hong Kong Jockey Club
レース結果・回顧:2019年香港カップ 海外競馬発売 JRA
昨年の自分の投稿も。2ハロンごとのSectional Timeも記載していますので前年との比較で参照いただけます。
総じて昨年より少し速いタイムでしたので、時計のでやすい馬場コンディションであったと理解してよさそうです。当日はグリーンチャンネルWebの2chで観ていたのですが、合田さんが好天である様子をレポートしていました。いい日射しでしたね。馬場がよいのも頷けました。
香港ヴァーズはグローリーヴェイズ
なにはともあれ、モレイラ目線の映像を観るべきでしょう。公式のレース映像と組み合わせて編集された方のツイートがRTされてきまして、これが一番ド迫力。マルチカメラビューですね。1分45秒あたりが内に進路を切り返すあたりですが、その10秒くらい前から観るのがおすすめです。
香港ヴァーズ 4画面(レース、パトロール、先頭、モレイラ騎手目線カメラ)映像
— M(🇯🇵Horse Racing) (@HorseRacing_M) 2019年12月8日
📹@WHR & https://t.co/36d4ozEuwc pic.twitter.com/IHFUPcMsTN
マジで怖いですねw あそこで外に展開せずにインのスペースを待てるのは、読みの確かさと、鞍下を制御できるフィジカルと、瞬時に反応できる動体視力と、圧倒的な胆力、これらが揃っていてこそでしょうか。
4コーナーで外がガラッと空くのですが、そこに展開しないあたりがマジックマンのストロングポイントなのでしょう。もし外へ展開していたらラッキーライラックと接戦になっていたでしょうし、併せる形ならラッキーライラックのしぶとさを引き出してしまったかもしれません。インからスパッと抜け出す、ディープインパクトの長所を引き出しての完勝。お見事でした。
そうそう、アーモンドアイが香港カップ出走予定だったため、有力馬がカップからヴァースに流れたという経緯は記しておく必要がありますね。その中での快挙と語るべきですから。エグザルタントはもともとヴァースだったようですが、アーモンドアイをあらかじめ避けられることもヴァース選択の背景にはあったかもしれませんし。
ディアドラは讃えるべき4着
橋田師が懸念していた通り、いやそれ以上に内枠からいったん下がり切る形に。追い込んで届かずというより、どうしても早く脚をつかってしまう展開でした。本命視したのは無理があったかな、でも十分堪能できました。
今年のディアドラのローテーション、競馬ラボのツイートから引っ張りますよ。
中山記念 6着
ドバイターフ 4着
QE2世C 6着プリンスオブウェールズS 6着
ナッソーS 1着
愛チャンピオンS 4着
英チャンピオンS 3着
香港ヴァーズ 4着
…大変お疲れさまでした。後述するマジックワンドともども、タフネスな転戦振りでした。今後の海外遠征によい前例になると思います。2006年のウィジャボードを引き合いに出すあたりはオールドファンならではかな。あの馬もタフネスでしたね。
香港スプリントは勢力図に大きな変動なく
エセロ、惜しかったですね。昨年のラップが、23.76-22.43-22.66ですので、今年の方がコンディションがよいとはいえ23.71-21.86-22.55、はさすがに中間が締まり過ぎたかもしれません。ただ、3歳秋で歴戦の古馬相手に僅差ですから、来年以降は期待がもてるのでは。
昨年3着のビートザクロックが差し切り勝ち。2着は昨年逃げて厳しいマークにあったホットキングプローン。昨年連覇を果たしたミスタースタニングが4着。1着と4着の差はクビ、クビ、3/4馬身ですから、あまり勢力図が変わっていないといえそうです。
ダノンスマッシュはスタートで後手。そのまま外をまわってレースが終わってしまいました。もう少し馬体がパンプアップしてくれたら、と思いながら見守る1年でしたが、どうやらこの大きさが本馬の妥当なサイズかな。残念と妥当が半々という印象があります。
香港マイルはアドマイヤマーズが世代交代を印象付ける
個別のSectional Timeを見てびっくりしました。ビューティージェネレーションは1:33.52、昨年と全く同タイムで走破していました。馬場を考えると、1歳年を重ねてなおスピード勝負に対応したんですよね。以下、昨年と今年のビューティージェネレーションのラップ比較です。
2018:24.58-22.39-23.67-22.88
2019:25.21-22.87-22.71-22.73
今年の方が序盤をゆっくり入り、道中は一貫ラップを刻み続けました。加減速を押さえて平均的に速くすることで後続を封じ込めるベテランの老獪な戦略、これを日本の若きマイル王が打ち砕いたという図式ですね。世代交代という構図が鮮明にでたレースというべきでしょう。
平均的に速いラップを好位追走する展開は、ダイワメジャーの特徴にマッチしていたとも言えます。インから2列目の中団。グローリーヴェイズもビートザクロックもここから馬群を捌いて勝利を手にしました。スミヨンもわかっていてポジションをキープしていたように見えています。
日本のファンはもっと感傷的に捉えていますよね。近藤オーナーの弔い合戦。近藤利一の名義で走る最後のレース、オーナーは香港好きだったと聞き及んでいますので、関係者には何よりのプレゼントになったと思います。友道師の涙が印象的でした。
香港カップはウインブライトが見事なリピーターぶり
8頭立てとはいえ、沙田の2000mで大外枠。よくこなしたと思います。タイムワープとグロリアスフォーエバーがペースを作る中、その直後につけたのは松岡の思い切った判断でしょう。ここで斜行を取られての騎乗停止でしたが、踏んでいきましたね。
ウインブライトが早いタイミングで外から被せたことが、マジックワンドの敗因とも言えそうです。4コーナーから直線半ばまで、ムーアが進路を失っていたのはウインブライトの動きがあってこそ。カップもまた、勝ち馬はインから2列目の中団に構えていました。ゴール手前でインへ寄ってしまった動きがなければ文句なしでしたね。
香港スターとは松岡の言葉ですが、これだけ合っているとは思いませんでした。オールカマーはノーカウントでよいと思いつつ、ここで本命にするのはちょっと思い切りが要りましたね。
本命だったマジックワンドはタフのひと言。こちらはHorse Memorysさんのツイートから。オーストラリアで間隔を詰めてG1を勝ってから、一度アイルランドに戻っての香港遠征。いやはや。
1月米国 (GⅠ2着)
3月ドバイ
5月米国 (GⅠ3着)
6月英国→愛国(中9日での出走でGⅠ2着)
7月英国
8月米国 (GⅠ2着)
9月愛国 (GⅠ2着)
10・11月豪州(2週間で3戦出走してGⅠ制覇)
12月香港(一度愛国へ戻り香港へ移動でGⅠ2着)
ムーアからすれば不完全燃焼だったことでしょう。2020年も現役続行でしょうか、その場合は昨年に引き続きドバイで見られるかな。
日本馬はもともと高評価
いわゆる「ジャパン・デー」を振り返る日刊ゲンダイの記事。「これじゃあ外国馬が来るわけがない」という見出しにちょっと違和感を覚えました。…細かい性格なのでしょうかね。
香港国際競走の3勝を合わせて8勝なのは間違いないですが、その8勝を根拠に「来るわけがない」とは。ジャパンカップの外国馬参戦がゼロになったのはその1カ月ほど前ですからね。いや、鷹揚に構えてはいるんですけどね。
香港の3勝は日本馬の強さを再確認する結果にはなったでしょうし、ジャパンカップに外国馬が来なかったのはメリットが少なく見えているという点に尽きるのでしょうし(その中に日本馬が強いという要素はあると思います)。いろいろミスリードに見えてしまったので、ちょっと、ね。
香港の中継環境が微妙
日本馬の活躍を堪能した一方で、苦言と申しましょうか。スカパー!でグリーンチャンネルを契約している場合、香港の中継が観れない状況だったんですよね。契約状況で閲覧に差がでてしまうのはサービスとして改善の余地ありと感じました。また、パークウインズにいっても香港と日本の開催を並行して楽しむことが難しいですよね。当初は府中の指定席でのんびり楽しもうと思っていたのですが、ほぼ足を運ぶメリットが感じられず。。。
そりゃあ皆、ネット観戦しますよね。自分も結局、自宅観戦に。テレビにiPadをつないでグリーンチャンネルWeb(香港)と地上波の中継(日本)を行ったり来たりする形になりました。このせわしなさを緩和できるなら、パークウインズの方がよいのですけどね。…こういうファンがマイノリティなだけなのかな。でも改善してほしいポイントと思っています。
カペラSはコパノキッキングが先行押し切り
香港スプリントが15:25、阪神ジュベナイルフィリーズ15:40と、せわしなく予想する時間になった15:20にカペラS。藤田菜七子がきっちり結果につなげました。フェブラリーSの頃の状況を考えると、よく砂を被りながらあの位置をキープしたなと。
公式レースラップはこちら。
11.7-10.2-11.0-11.6-12.0-12.8
内からゴールドクイーン、これに付いていこうとプッシュしていましたが、外からレッドアネラ、ヒロシゲゴールドの行き脚がひとつ上。ここでスッと引いてひとつ外へ、ヒロシゲゴールドの真後ろにつけて3コーナーを迎えます。この切り返しは大きなポイントだったでしょう。
前走JBCスプリントではファンタジスト武豊を深追いする流れ、どうやら競り込まれるとは想定していなかったようです。このあたりは武豊TVで語られていました。レース後に菜七子が質問しに来たようですね。その反省が序盤の柔軟な判断につながったと思われます。それでもゴールドクイーンを追いかけている最中は、外への意識がちょっと弱いようにも見えましたけどね。
これでJRA重賞初制覇。通算100勝も達成しましたし、来年が踏ん張りどころになりそうですね。いい馬と出会ってほしいものです。
最後に
ふー。この投稿に着手するのにまるまる1週以上遅れてしまいました。トラブル対応やサシ飲みや実家に大量にみかんが届いたりすると、なかなかまとまった時間が確保できないものですね。
アーモンドアイが香港カップに出ていたら。ウインブライトの後ろから直線早めに捉えて危なげないG1連勝を決めていたのでは、などとイメージが膨らんでおります。そちらも見たかったですが、有馬記念参戦が決まりましたからね。これでかなり好メンバーが揃うグランプリとなりました。
すでに朝日杯が終わっていますよね。。。サリオス、個人的にはレシステンシアと変わらないくらいインパクトがありました。なんとか早くまとめて、有馬記念に集中したいと思います。