ラヴズオンリーユーが無敗でG1戴冠となりました。
4コーナー付近はインから立ち回るウィクトーリアを中心に観ていたので、前が蓋で番手を下げたかなという横目でチラリな確認でした。ラヴズオンリーユー、実際に公式の通過順は9-8-10-10。馬群の外目を追走していましたから、かなり距離ロスしながら直線を迎えたといってよさそうです。
改めて映像で確認すると、向こう正面から直線までずっと、フェアリーポルカが前に、ビーチサンバがひとつ外に。1番人気ならではの囲まれ方でした。デムーロはエンジンを吹かしながら、ずっと進路を窺っていましたね。4コーナーのコーナリングを利してようやく前方がクリアになりました。この間を慌てなかったことは大きな勝因と思います。
…そういえばビーチサンバの鞍上は兄リアルスティールの鞍上でもありました。妹の進路を塞ぐのは兄の鞍上ということですね。そうそう、ビーチサンバの母はフサイチエアデール。フェアリーポルカはトゥザヴィクトリーの姪。かつてのライバルがオークスの舞台で差し馬をマークする姿。その年の勝ち馬はウメノファイバーでしたねぇ。いろいろとイメージがつながってしまうあたりが困ったベテランファンの証でございますねw
ちょうどトゥザヴィクトリーよろしく、先頭に立って粘り込むカレンブーケドールをクビ差捉えたところがゴール。兄が届かなかったクラシックに妹が到達しました。
公式レースラップ
12.5-10.9-11.7-11.9-12.1-12.2-12.3-12.2-11.7-11.4-11.6-12.3
ジョディーの逃げにコントラチェック、クロノジェネシスが続く
低いスタートから敢然と武藤雅。最内枠でジョディーを活かすならこれしかないというダッシュでしたね。コントラチェックは若干伸び上がり気味のゲートでしたので、この時点でハナ争いは決しました。
ジョディーの斜め後ろにコントラチェック。問題はインの3番手が誰になるか、だと思っていたのですが、北村友一が行きましたね。コントラチェック、エールヴォアを前に入れないように最内をキープし続けました。クロノジェネシス、ビーチサンバはこの他馬をけん制する細かな出し入れでスタミナを削っていった印象があります。それでも取るべきポジションを取りに行った北村友一、今回の乗り方は評価されてほしいですね。
緩みのないペースにカレンブーケドールの早めの仕掛け
武藤雅に溜め逃げの選択肢はなかったのでしょう。緩めるというより極力力まないようにスピードを維持する、という表現が妥当と思っています。ただ、4コーナーからペースアップしているんですよね。
残り800、津村の肩ムチがはっきり映っています。外から進出を開始したカレンブーケドールは早くも追い始めます。これに煽られていたのか、手応えに劣るジョディーを煽っていたのか、エールヴォアとコントラチェックはスピードアップ。これでレースの厳しさがぐっと上がりました。
4コーナーで11.7は速いですねー。過去10年ではソウルスターリングの11.6に次ぐ速さ。ただし、その年は序盤3、4ハロンに12秒台後半のラップがありますからね。緩みのない中での11.7ですから、ゴールを待たずに先行馬も差し馬も失速していったのは納得するところです。
レースレコードでしたが、相応にサバイバル。単に高速馬場だから仕方ない、という評価で片づけてはいけない内容と思います。
カレンブーケドールは死角
レース後に須田鷹雄のツイートを見て納得。作戦自体、早仕掛けだったようです。序盤のポジションも前走の反省を踏まえてなのか、3、4番手のつもりで7、8番手というイメージを関係者間で共有していた模様。
そうなんですよね、前走スイートピーSは出遅れてほぼ最後方から、3コーナーを待たずに外から進出、4コーナー3番手でそのまま押し切っているんですよね。息の長さは証明済みですから、そこを評価すべきだったというのは後の祭りというんですよねはい。
ひと夏越えてさらに充実するなら、秋華賞面白いかもしれませんね。ぜひ紫苑Sから見たいと思っております。
ラヴズオンリーユーは展開が奏功した面も
カレンブーケドールがいたからラヴズオンリーユーがより輝いたというべきでしょうか。個人的にラヴズオンリーユーが来る展開は、リアルスティールの毎日王冠に近しくなった場合だろうとイメージしていました。はい、リアルスティールの毎日王冠のラップはこちら。
12.8-11.0-11.8-12.2-12.2-12.1-11.1-10.7-11.7
4コーナーで手が動き始めて、坂下が最速で直線が減速ラップになるような3ハロンの末脚勝負。毎日王冠は登坂部分が最速でしたが、3ハロン目いっぱいであることは相似形だったと思っています。そうなんですよね、この毎日王冠、乗り替わりで一発回答をだしたのはデムーロなんですよね。
もちろんラヴズオンリーユーの強さにケチをつける話ではなく。ただ、ヴィクトリアマイルのような急緩急のマイルG1で勝ち切るには、もうひとつストロングポイントが必要になるイメージがございます。無敗のチャンピオン、これからが難しくなっていきそうですね。
まだ未完成であること、忘れな草賞を含めて立て直しながらのG1制覇だったこと、このあたりに今後の楽しみがたっぷりあると受け止めましょうか。ハイペースが予測される秋華賞ならしっかり狙いたく、ちょっと先ですが来年の天皇賞秋などいかがでしょうね。はい、兄妹よく似ているという認識です。
ウィクトーリアは1コーナーまでのポジショニングと直線の進路にちょっと疑問
序盤のポジショニングが明確にイメージしにくい臨戦過程でしたが、そこに目をつぶって、仕上がりと末脚の切れに期待しての本命でした。でもその不明確なスタートが大きく響いてしまいましたね。
当日はゲートが目視できる位置で観戦していたのですが、大外フィリアプーラがゲートに入ったあたりで上体をあげる所作が。ここからスタートまでおそらく2秒に満たない間なのですが、ここで感じるいやな間、わかっていただけますでしょうか。たぶん出遅れるな…と察しながら出遅れる様を見届ける、何ともいえない微妙に長く感じる間。
前脚をあげて伸び上がったところでゲートオープンし、案の定出遅れてしまいました。その後の1コーナーまでにインへ誘導するリカバリーはさすがと思っていますけどね。直線を迎えるまでの我慢、このあたりは戸崎のリードの賜物です。
ただ、直線の進路取りはちょっと気になっております。ダノンファンタジーの後ろにはいり、斜め前方に進路、その外にラヴズオンリーユーという、ある意味絶好の進路を捨ててインに切れ込む判断。飛び込んでいたら勝ったとはそりゃ言い切れないのですが、反応の速さに疑問符がついておりまして。
ラスト1ハロンでクロノジェネシスのインへ切り返す際も、よっこらしょという間合いで、馬が手前を変えて体勢を立て直しているように見えています。その分減速しているようにも。戸崎の一瞬の判断、ここには全幅の信頼を置きにくいように感じた次第です。馬群の中で素早くウインカーをだす、トップスピードで進路を確保する、こうした場面では少し動体視力に信が置けないのでは、という仮説ですね。
でも、このオークスは序盤のポジショニングが敗因の大きなウェイトを占めていると思っています。勝てる力はあったと受け取りつつ、秋のG1を楽しみに待つとしましょう。
その他の馬の印象
ダノンファンタジーは距離不安を克服と言っていいパフォーマンス。でも今後は短距離にシフトしていくでしょうね。シャドウディーヴァ、シゲルピンクダイヤは差し脚を伸ばしながら息切れになってしまいました。
週中、エールヴォア推しをあちこちで確認していましたが、当日のパドックで評価を下げました。仕上がっていましたが、大柄で胴長の馬体。過去のレースから回転数より大きなストライドで推進するタイプと理解していましたので、いまの府中の馬場ですとちょっと向かないタイプかなと。回転数がもう少しあれば、と思って見ておりました。馬体はいいんですよね。どこが適鞍になるでしょう。
シェーングランツは一頓挫あって馬体を戻してきた、という雰囲気でした。このあたりは藤沢師のインタビューで雰囲気を垣間見ることができましたね。勤めていつものトーンでしゃべろうとしていましたが、ちょっと浮かないというか、自信がないといいますか。こちらもパドックでもうひとつ身がはいっていない馬体を見て評価を下げた次第です。こちらも秋以降、よくなってくるでしょうね。
最後に
仲間内のPOGでサートゥルナーリアとラヴズオンリーユーを指名しておりまして、ここのところなかなかに冷遇されておりますw 日本文化圏でひとり勝ちするはよろしくないのかしら。6月に指名できていますから褒められてしかるべきなんですけどねぇ。
そういう自分もPOG場を本命にしないあたりに初志貫徹できない弱さが覗きます。困ったものです。
ダービーウィーク。月曜から火曜にかけて低気圧が日本列島を縦断中です。これが過ぎると週末まで真夏日が続く模様。まずは被害など出ないことを祈りつつ、馬場はきっといいコンディションだろうなと期待いたしましょう。
久しぶりに予想が悩ましくない一週間を迎えられそうです。この感じはドゥラメンテ以来ですね。