more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

ジャパンカップ

アーモンドアイ、圧巻の世界レコードで4冠を達成いたしました。

 

府中のスタンド、少し上がったところで観戦していました。ゴールの瞬間からしばらく、端的な興奮と違う、独特な高揚感が場内に満ちていたように思っています。圧倒されてしまった感覚といいますか、レコードの数字が示す意味を咀嚼しきれていないといいますか。

個人的には2:20.6の計時を見た瞬間に鳥肌が立ちましたし、ちょっと怖いという思いとともに歴史的な瞬間を堪能しておりました。

アーモンドアイはこれで4冠なのですが、週明けの論調はエネイブル、ウィンクスとどの馬が強いんだろうという比較へ関心が移っている状況。牝馬3冠にジャパンカップジェンティルドンナという前例がありますが、いやいやとんでもない成績なのですよ。その先の議論が早くも始まってしまうあたりが、このパフォーマンスのインパクトの大きさを物語っている、ということなのでしょうね。

海外からの招待馬が減っている状況ですし、カプリのライアン・ムーアは速すぎる馬場に尽きると敗因を分析しています。海外からもう挑戦してこないだろうという意見も目にしました。が、芝のスピード決着への対応力なら日本馬が世界で随一であること、その日本のチャンピオンクラスはオーバースピードへの適応に長けていることが改めて証明されたことに大きな意義はあるでしょう。

エクイターフと馬場管理技術で整ったクッション性とグリップ力を兼備した芝コース、トレーニングや飼養管理のナレッジ、これを踏まえたジョッキーの戦略。すべてが日本の競馬を特徴づける要素と思います。その最高峰、ダービーと同じ2400mで世界レコードがでたわけで、その意味でジャパンカップはいまだもって日本の競馬がもつ価値、キャラクターを対外的にアピールする舞台であり、世界との重要な接点であり続けている、とも思った次第です。

…理屈が多いですかねw すごかった、以上。でよいんですよね。

公式レースラップ

12.9-10.8-12.2-12.3-11.7-11.8-11.7-11.4-11.4-11.0-11.4-12.0

キセキのリズムは天皇賞と近しいもの

大外にはいったウインテンダネスは勝敗に色気をもつなら控えるだろうと予想していた通り。ノーブルマーズ、ガンコらが壁になるでしょうから、それを押して交わすスタートダッシュを求めるよりは、控えて上がり33秒台の勝負に賭けるのでは、という読み。

そうすると、外枠の先行馬の丁々発止を待たずにキセキが逃げるのでは、という読みもあっておりました。願わくばどこかでキセキのリズムが崩れるような早めの勝負開始となることを希望していましたが、川田が自らラップを上げ続けるという戦略、他馬につけ入るスキはありませんでした。

ここのところの川田の先行策は見応えがありますね。秋華賞であわやのミッキーチャームを逃がしたのも川田ですしね。天皇賞との符合は残り1000からスピードを緩めないこと、直線に向いてすぐにアクセルを噴かすこと。異なる点は2000のほうがよりスピードの平均値をあげていること、でしょうか。

いずれにしても平均より速いラップを継続して後続を寄せ付けない、いっしょにバテるような逃げに戦略的に取り組んだといえると思います。気持ちの強さと技術が噛み合っていないとできない逃げですね。

2番手からの横綱競馬

1コーナーを待たずに2番手の内を取りにいくルメールの判断。パッと見はオークスと考え方がいっしょかなと思っていました。有力な先行馬のすぐ近くで立ち回る判断。自身のスタミナを切らせて骨を断つ戦略ですから、鞍下への信頼も覗きますね。

ジャンプスタート気味でしたが腕の運びでしっかり被せて前進する形をつくりました。上に逃げてしまう力を前に変換する技術は、さらりとやってのけていますが相当な難易度であると推察します。

佐藤哲三が引き合いに出したゼンノロブロイ有馬記念

はい、netkeibaはすばらしいコラムを連載中ですねw ご本人がタップダンスシチーで悔しい2着になったレース。ゼンノロブロイは鞍上オリビエ・ペリエ、この騎乗ぶりを引き合いにアーモンドアイのルメールを評価しておりました。

改めて観ましたよ。ゼンノロブロイ有馬記念は2003年。レースラップはこうでした。
7.0-11.6-11.5-11.7-12.3-12.4-12.0-11.7-11.8-11.9-11.6-11.6-12.4

中山のアンジュレーションに逆らわず、そして全体的に速いラップ推移。これを捕まえるには番手追走しかなかったと思われ、スタートまもない11.6-11.5のラップの中で2番手までポジションを取りに行ったペリエの判断は、確かにルメールのそれに近いかもしれません。

単に前から何番手であるか、ということだけではなく、後続にけん制を効かせるポジショニングでもあるでしょう。あの位置にいられたら手出しできないですものね。どちらのレースも4コーナーまでの通過順が大きくは変わらずなだれ込むようなレースでした(最後方からレースした馬はさすがに着順をあげていますけどね、かたやハーツクライ、こなたミッキースワローで、どちらも横山典弘という)。

タップダンスシチージャパンカップとの相似形

超そっくりとまではいきませんが、あの荒れ馬場の9馬身差との似た点を感じましたので、少しだけ。

2003年のジャパンカップ、レースラップはこうでした。
12.9-11.7-13.1-12.4-11.8-12.2-12.2-12.8-12.2-12.0-12.4-13.0

比較のため今年のを再掲。
12.9-10.8-12.2-12.3-11.7-11.8-11.7-11.4-11.4-11.0-11.4-12.0

タップが3コーナーで緩めているのを覗けば、アップダウンの山谷の形は相似形といえそうです。向こう正面も締まって、4コーナーから直線坂下でトップスピードに乗せてしまうあたりに近しい戦略を感じます。

どちらのレースも中団追走組がなかなか差を詰められず、後方から追い込んだ馬と押し切った勝ち馬との上がりがコンマ2、3秒しか変わらない、差せない展開であったことも似ている点でしょうか。タップのレースではダービーレグノが該当しますね。

超良馬場も超荒れ馬場も、先行馬がスタミナを活かすと、差し馬の切れが活かしにくい特徴がでるのかもしれません。アメリカのダート競馬にも通じるでしょうか。

武器は圧倒的な切れだけではない

桜花賞秋華賞からして、スタートの不器用さも相まって後方から圧倒的な切れ味を披露してきたわけですが、初めて挑んだ古馬牡馬とのレースで速いラップを番手追走で押し切ったのは素晴らしく。スタミナ比べもできるなら、文句なしですね。

強いて言うなら高速馬場でのスピード維持と、渋ったり掘れるような馬場でのスピード維持は求められる能力が異なるでしょうから、今後はその対応力が問われる場面に直面する可能性はあります(特にパリロンシャンはね)。

海外遠征については個人的には楽観しているのですが、一度でも現地でレースに使えると圧倒的に有利になるように思います。馬自身が効率よい走り方を常に模索しているように見えていまして。掘れる馬場にも上手く対応してくれるように思っています。

まずはドバイミーティング

次走はドバイターフorドバイターフになる模様。思ったより早いタイミングで次走についてのコメントがありました。もう日本最強馬の看板を背負って挑むことになりますね。馬券も買えるようになりましたから、有馬記念を待たずに来年の楽しみが増えました。

スワーヴリチャードは1コーナーまでのデムーロが神

11番枠、出負け気味のスタートから1コーナーで最内の5番手。どうやったらこのラチ沿いが取れるのか。この動きが3着に残した大きな要因であったと思っています。

パドックで観た馬体は、正直まだ物足りないもの。それでも天皇賞よりは上向いているかな、でも劇的な良化ではないな、などと感じておりました。ここからさらに良化するなら有馬記念でも楽しみかもしれません。

サトノダイヤモンドは完敗の6着

スタートはよかったんですけどね。陣営から指示があったでしょうか、モレイラはここから手綱をがっちり抑えて少しずつポジションを下げて1コーナーへ。うーん、残念ですがこの時点で勝機がほぼなくなったと考えていいように思っています。

4コーナーで外から蓋をしていたサウンズオブアースがバテはじめ、サトノダイヤモンドが捲り気味に外へ展開した瞬間はあがったなぁ。そこからはキセキと同じ上がりですから、詰められませんでしたね。

モレイラのコメント通り、残り100前後ではっきり脚があがったことがわかりました。以前よりも、加速の合図がでてから一気にピッチを上げる印象もあり、その分早くバテてしまったかもしれません。これまでの大きなストライドで息長く末脚を伸ばす姿が見られなくなっているのと、復調途上であることが直接結び付くのかな。

京都大賞典の前からイメージしていた通り、次走有馬記念がラストランになる模様。ぜひ「らしさ」をみせて無事にレースを終えてほしいと思っています。

最後に

週中はもう全然この投稿に手を付ける余裕がありませんでした。現役最強牝馬のことに集中する時間がほしかったんですけどね、なかなかね。ようやく時間を取ったら土曜の朝になってしまいました。

情報は取っていますがチャンピオンズカップのイメージはまだ全然湧いていません。むしろ脳内を止めて平日の業務を乗り切ったところなので。ええ、これからですよ、ルヴァンスレーヴと思いつつ、サンライズソアやウェスタールンドの可能性を考えるのは。

そうそう、即パットに加入したところ、キャンペーンで当選したようでデロンギのコーヒーメーカーが郵送されてきました。すこしカフェインを控えようと実行し始めたところに何という贅沢w 適度に使わせていただきます。ありがとうございました。