京都開催だった2018年、3競走とも面白い内容でした。
順番にさくっと振り返りますね。まずはJBCスプリントから。
JBCスプリント・公式レースラップ
12.1-10.6-11.0-11.6-12.1-13.0
マテラスカイの前傾ラップ
前半3ハロンはかなり突っ込んだラップ。2ハロン目は不良馬場のプロキオンSよりコンマ1秒速いという。これをほぼ馬なりで計時していますから、ブレーキを踏まない判断があったのでしょう。さすがにラスト1ハロンは脚があがっていましたが、それでも36.7の上がりはスピードが出やすい馬場コンディションであることを窺わせます。それも含めて武豊、狙っての前傾ラップだったでしょうね。
グレイスフルリープは好枠を活かした印象
ルメールは逃げ馬のひとつ隣の枠を最大限活かしたと思ってます。それでもこのハイラップをよく追走できました。橋口師によると昨年のコリアカップで馬に自信がついたとのこと。
パドック映像でも8歳という年齢は感じさせませんでしたが、速い馬場も味方したのでしょう。強い勝ち方でした。
キタサンミカヅキはミスマッチを越えての3着
返し馬で馬場とのミスマッチを感じたのがキタサンミカヅキ。速い馬場に対して強く掻き込むフォームは力のロスが大きいように見えました。改めてレースを見直してみると、森泰斗が上手く乗っていますねー。3、4コーナー中間で手綱のアクションを止める時間が。ここでニュートラルに流すことが直線での伸びにつながったものと理解しています。
「なんで京都」という本人のツイートはこのミスマッチのことと推察しました。大井だったら、というタラレバは残りますね。
キングズガードは後ろ過ぎ
どうしても速い馬場での追い込み脚質は、上がり最速で届かないという展開になりがちです。実はもう少し時計を要する想定ではいったため、追い込みが間に合う予想に収斂させたんですよね。直線入口からモーニンに被されて進路を切り返すロス。キングズガード本命は見当違いだったなぁと思いながら、前残る2頭との距離を眺めておりました。
キングズガードもモーニンも、1400がよいように見えますね。でもマテラスカイのプロキオンSを差せるかは別の話か。
JBCクラシック・公式レースラップ
7.1-11.2-11.9-12.9-12.2-11.5-11.8-12.2-12.7-13.2
サンライズソアには厳しい展開
先手を取ることができず、前に馬を置くことができず、控えて勝負するつもりがなかったであろうテイエムジンソクには、向こう正面で前を窺うしか選択肢がなくなっていたでしょうか。1番人気サンライズソアのルメールはこの並びかけが終いに響いたと敗因に挙げていたようです。先頭を譲らない手綱の動きがありましたが、思った以上に厳しいラップで推移していたのですね。
ラストの失速をよく踏ん張ってサンライズソアは3着。逃げ馬の1番人気の宿命といえばそうですが、どちらかというと同型馬の思惑がバッティングしたと理解するのが賢明と思っています。強い負け方というべきでしょう。次走チャンピオンズカップはモレイラに乗り替わりとの報。次が激しく買い時のように思います。
テイエムジンソクは屈腱炎発症
テイエムジンソクは残念ながら屈腱炎を発症。パンプアップしてこないなぁと思いながら大成を楽しみにしていたのですが、残念です。9カ月以上の加療が必要とのことですので、今後の活躍は何とも、ですね。同型の馬が少ない時代ならもっと早くから良績を出せていたかもしれません。生き残った者が強いというべきか、サンライズソアの次走にはこのバッティングはありませんね。
ケイティブレイブはうまく噛み合っての戴冠
逃げ切りもなく、追い込みも届かず、ペースを前受けした馬が順番に末を失う流れ。こうした不安定なり厳しい前々のペースを受けた際の福永は、何度も鮮やかな差しを決めてきたと思っています。
初G1のプリモディーネから、ストロングリターン、ジャスタウェイ、まだまだ例示できそうですが、こうした「終わってみたら」というレースは本当に巧みという印象があります。あーこれだと皮肉にも読めるなw 事前に展開のシミュレートができていてして、実際に動かずにいるのもまた難易度の高いパフォーマンスと理解しております。
ケイティブレイブ自身も相当に仕上がっていた印象。3、4歳の武豊が鞍上の頃は、パワー不足を補う戦略として道中の加減速を押さえる逃げを選んでいたように理解していまして、それから比べるとG1馬にふさわしいパンプアップがあったように思っています。
帝王賞馬に対して次走が試金石、というのはなかなか厳しい見解。ルヴァンスレーヴ、ゴールドドリームが不在ですから、その論調もやむなしでしょうか。
オメガパフュームは先が楽しみ
最後方から進めたノンコノユメを別にすると、上位勢ではより末脚が切れた印象があります。エイジアロウワンスがあるにしてもよくケイティブレイブを追い詰めました。ジャパンダートダービー1、2着がそのまま古馬にも通用した格好。先々が楽しみなパフォーマンスでした。
スウェプトオーヴァーボードに母父サンデーサイレンスですとレッドファルクスですが、こちらは母父ゴールドアリュール。股関節の可動域がゴールドアリュールの分気持ち硬め、と表現すると塩梅がよいでしょうか。このままパンプアップしてくれるとG1戴冠も十分あり得ると思っています。
成長曲線といいますか、戦歴の重ね方といいますか、ホッコータルマエの3歳時と少し重なる気がしています。次走はチャンピオンズカップとのころ。ぜひこのまま順調に。
その他気になったこと
クリソライトは1年ぶり。肩のゴツゴツ感をずっと感じていましたが、今回はそれがすっきり。でも全体的な筋肉量は休み明けのそれでした。追い込んでグレイトパールの2着だった平安Sが一瞬よぎりましたが、馬券的には切って正解でした。
ひと頃のよい感じに近かった印象があって、アスカノロマンを穴で抑えていました。サウンドトゥルーにハナ差の6着ですから善戦してくれましたね。狙いとしては悪くなかったように思っています。
そのサウンドトゥルー、南関移籍が決まりました。オーナーサイドのTwitterアカウントで詳細を目にしましたが、移籍条件を勘案してこのタイミングで決断したとのこと。リッカルドと同じ厩舎ですので年末までにどんな仕上がりになるか、楽しみです。移籍にかかる詳細は以下でまとまっています。
JBCレディスクラシック・公式レースラップ
12.1-10.9-12.5-12.5-12.4-12.2-12.5-12.3-13.0
大外枠スタート→1コーナー最内
内枠の先行馬がダッシュした直後のぽっかりとしたスペース、アンジュデジールはそこに飛び込んで1コーナーを迎えました。パトロールビデオではアウトからインにきれいな斜めの軌跡が見えることでしょう。どうして大外枠からここにポジショニングできるのか。変態ですねw
そのまま2番手集団の先頭、絶好のポジションを確保できました。ひとつ外にラビットランという難しさは抱えつつも、前がプリンシアコメータですから、3、4コーナーまではまず安泰でしょう。大きなアドバンテージを取りにいって実際に取りましたからね、お見事というべきポイントと思います。
3コーナー進出のタイミング
3コーナー入口ではプリンシアコメータ武豊にインを締められたものの、すぐに切り返してひとつ外を狙いました。脚勢を失ったカワキタエンカを内からパスして、大回りしていたラビットランのインをもう一度取るタイミング。すごいきれいですw この流麗な加速とポジショニングが横山典弘ですね。
ラビットランとの着差はアタマ差でしたから、ここでラビットランに外から進路を取られていたら、おそらく1、2着は逆転していたでしょう。勝負を分けたポイントは先の1コーナーとこの3コーナーの2点、と思っています。
関東のジョッキーもいますよもちろん
勝利ジョッキーインタビューもふるっていましたね。ルメール、福永ときていましたが、そりゃ関東にもいいジョッキーはいますよね。会心のリードだったことが表情にも表れていたのだと思っています。騎手が勝たせたレース、というべきでしょう。
ラビットランは惜敗
3コーナーで大回りと表現しましたが、決してロスの大きい動き方ではなく、あくまで勝負にいくタイミングで然るべきコース取りがあったものと理解しています。最下位になるカワキタエンカをパスするタイミングですから、判断が遅れればリエノテソーロのように大きなロスになっていたでしょう。あくまで横山の立ち回りを褒めるべきところと思います。
ローズSの切れ味がまだ印象深いところですが、スパーキングレディカップからこちら、軽めのダートでは安定した走りを見せている印象。もう一回りパワーがつくようですと、古馬牝馬ダート路線の中心という評価になっていくのでは。戦歴も浅いですし、引き続き楽しみな1頭と思っています。
本命ファッショニスタは出負け気味
外枠のディスアドバンテージをもろに受けたのがファッショニスタでした。出負け気味のスタートから後方インに寄せるしか1コーナーまでの選択肢はなかったように見えています。3、4コーナーでも外を回しての進出。バテた馬から不利を被らなかったのがせめてもの救いでしょうか。これで3着まで追い込んできましたから、末の切れは確かですね。
戦歴的には同条件の1600万、平城京Sを2着。速い上がりでまとめていたあたりが注目したポイントでした。そのレースの勝ち馬アイアンテーラーも出走していましたが、内<外という判断と、よりピッチの速い走法であることで重視してみた格好です。京都以外でどんな走りをするか、次走以降はそのあたりに注目したいと思います。どうやらクイーン賞のようですね。
最後に
当日は悪友と久しぶりの競馬観戦。府中で3競走を見届けました。
相変わらず近況報告そっちのけで京都の馬場読みをあーだこーだ。馬場の傾向がつかめた頃にJBCって終わっちゃうよね、などと言い訳がましいベテランファン振りを発揮しておりました。あ、カネヒキリやヴァーミリアンの貫禄はいまのメンバーにはちょっと感じないよね、というおっさんの感傷もありましたね。
好き放題に競馬の話ができるのはよい時間だなと。お互い忙しい中での時間の工面でしたので、また近々で繰り出したいと思っております。
最後の最後に
この投稿に着手してから、まとまり切る間に武蔵野Sも終わってしまいました。クインズサターンを外してしまうあたりに博才のなさを感じつつ、エリザベス女王杯を迷っているところです。
レッドジェノヴァ、リスグラシュー、モズカッチャンあたりを中心に、カンタービレ、ノームコア、アドマイヤリード、フロンテアクイーン、ヴァフラームあたりまで気を付けて臨みたいと思っていますが、ご覧の通り絞れてないですからねw
2番手集団の先頭を誰がとるかでペースと勝負になる馬が変わりそうな気がしています。が、きっと読み切れないんだろうなー。頑張ります。