more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

ロードカナロア顕彰馬選出

短距離馬としてはタイキシャトル以来。エルコンドルパサーの難産を思えばすんなり決まった印象です。

平成30年度顕彰馬の選定について JRA

 

ロードカナロアが投票可能になってから4年目(引退年は投票の対象外になるようですね)。最初の2年はオルフェーヴルジェンティルドンナが投票可能になった年と重なり、そちらに注目が集まってしまった感があります。昨年は73.4%と、基準である投票総数の3/4にわずかに届かず。で、今年の選出ですから、やっぱり初年度産駒の活躍、何よりアーモンドアイの2冠が決め手になったのでしょう。

選出基準の経緯を改めてみてみましたが、ひとり4票というルールは選出のハードルを適度に下げているようですね。

JRA顕彰馬 - Wikipedia


動画でフリカエリ

週末にようやくという感じですが、こういうタイミングですのでレース映像を振り返ってみました。JRAホームページの「競馬の殿堂」にて現役時のレース動画が確認できますが、自分はレーシングビュアーの「未来に語り継ぎたい名馬」コーナーで視聴。何故かリンクのない3歳500万下の映像もこちらでは観ることができます。

ただ、香港の映像はどちらもありませんねぇ。DVD販売が下火のご時勢、このあたりがオンラインで配信できるが大事なポイントと思う次第。YouTube等々で探しましたが、このひと手間、解消されるといいですね。

時系列に沿っての視聴。ほぼ一貫して1200を使い続けてきましたので、視聴にもリズムが生まれて面白かったですね。自分なりにいくつかポイントを見つけていますので、それを書いておこうと思います。


適性を探ったであろう3歳春

3歳春までは後躯の優位な走り。というより、肩回りのパンプアップがまだまだこれから、という馬体に見えます。スタートの良さと一定した速いピッチでそのまま押し切ったデビュー戦からは、ガーッと一息で走ってしまうような生粋のスプリンター感はなく。2戦目、3戦目は1600、1400と距離を延ばすレース選択になるのですが、距離適性と近々の目標を見極める意図があったのでしょう。

おそらく3戦目の500万下、先の映像リンクがなかったレースですね、ラトルスネークに差された内容からNHKマイルカップという選択は交替したのではないかなと推察します。未完成の馬体とその将来性、そしてライバル関係。その年はグランプリボスが勝ちましたからね。その翌週の葵Sを勝って、秋まで休養。この判断がその後の大成につながったとみられます。


鞍上福永の仕込み時期

先ほどの500万下で一度騎乗していますが、京洛Sから函館SSまでの5戦が福永。この時期、前駆ががっしりしてきたのが映像から見て取れます。それに合わせてか、スピードに任せたレースではなく、直線で抜け出す内容を意識しているように見えますね。前半に少し番手を下げているのは溜めを効かせるためでしょう。

そう考えると、函館SSの「取りこぼし」は納得する面もあります。これを獲るためだけならスタートから押っ付けてしまう策もアリかもしれませんが。コース、展開と上手く噛み合わなかったこともあるでしょうね。…福永のイン捌きの不得手も加味すべきでしょう。ただ、この5戦でカナロア自身にレースの運び方についてのベースとなる経験が蓄積されたといってよい気がしています。


鞍上岩田の収穫期

セントウルSからは岩田。出典を明示できればよかったのですが、レース前半を突っ込まなければ後半に凄い脚を使ってくれた、というコメントを目にした記憶がありまして。乗り替わり緒戦のセントウルSだけ、スタートから強くプッシュしているんですよね。その分末が甘くなってしまったようで、エピセアロームにきれいに差されてしまうわけです。

その後のレースでテンからのプッシュは見られませんので、本人の中では活かすべき反省点だったのでしょう。あとはそれまでの経験値がG1につながる収穫期にはいっていきます。騎乗依頼の妙、ある意味では必然だったのでしょうね。

個人的に、安田記念は岩田でなければ獲れなかったと感じています。スプリント戦に慣れた馬を府中のマイルで粘り込ませるのは、相応に難易度が高いはず。容易に減速しない速い馬場をよく読み取って、仕掛けのタイミングを見極められたのはお見事。外に大きく寄れていた点は、うん、馬の頑張りを褒めるとしましょうか。


ベストは1400というイメージ

福永が乗っていた頃に1400ベストかな、と見立てていたことを思い出しました。結局、ラストランまで変わりませんでしたね。重賞では一度だけ、阪急杯を完封勝利していますが、京王杯SCスワンSでどんな走りをするか観てみたかった。あー、中京1400は面白そうな舞台ですね。この場合は鞍上福永でお願いしたいです。


印象的なラストラン

やはり印象的なのはこれ。1年間順調に使って、アウェイという条件下であの直線での突き放しですからね。香港スプリント連覇は圧巻。レースレベルへの疑問の声などは当時の投稿でまとめておりますので、参考までに。そうですね、スワンSで圧勝するならこんな見栄えがしたかもしれませんね。

keibadecade.blog98.fc2.com


最後に

今週から函館開催がスタートし、2歳馬が続々とデビューしています。ロードカナロアは2年目の産駒、このあたりで適性を見極められるだけのデータが揃ってくるはずです。オークスを制したのは母系の賜物か、血統面での分析も進むでしょう。より種牡馬としての特性が見えてくるのはとても楽しみ。

一度目のスプリンターズSカレンチャンに譲った以外、国内ではすべて1番人気を背負い続けました。注目と評価を受け続けながらG1を5勝した馬が、早々に評価されたわけですから、選出基準も妥当な範囲で運用されていると受け止めてよいのかもしれません。

来年はあのブラックタイド産駒が待っていますからね。