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1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

ダービー・後編

長い文章は読み手に負担をかけてしまうわけですが、あくまで「日記」名目ですのでね。興味が生じている方は前編に引き続き読み進めていただければと思っております。では、ダービー回顧記事、続きです。

ダノンプレミアム、ブラストワンピースの進路

逃げたエポカドーロが皐月賞に引き続き、自身に最適なスロー寄りのマイペースで進めているわけですから、バテて進路が空くという可能性は低くなります。ましてやスローで展開しての直線勝負ですから、余力を残している先行馬の直後は前が塞がるリスクが増しますよね。

2頭とも、失策ではない認識です。むしろダノンプレミアムに対しては石橋脩、ブラストワンピースに対しては福永が、それぞれしっかり進路を絞っていたことを評価すべきでしょう。

ダノンプレミアムは終始エポカドーロの後ろから進路を探し続ける格好。コズミックエースがワグネリアンに合わせに行ったことでスペースが生じ、前方の視界はクリアになりましたが、すでに残り100と少し。そこから巻き返すには余力が足りなかったと思います。

一方のブラストワンピースは、直線に向いてジェネラーレウーノをパスしながら一度内に進路を求めていますが、ダノンプレミアムとバッティングして外へ切り返す様が見て取れます。530kgの馬体が右へ右へ手綱を手繰られ横へスライドしている間に、ワグネリアンとの縦の距離が生じてしまったようです。結局この差を詰め切れませんでした。

どちらも直線フルに追えていたら。とは思いつつ、外からポジションを取った人馬がそれをさせなかったわけですからね。やっぱり勝者を讃える回顧になりますね。


ダノンプレミアム

ざ石の原因は後肢の踏み込みが深く、前肢と追突してしまうこと。これはダービー特集のNumberにある取材記事が詳しいです。今後も、後躯の完成に合わせて、そのリスクは付きまとうことになるのでしょう。シンザン鉄を思い起こしましたが、あれはアルミ鉄が登場する前ですものね。

そして、一頓挫からよく巻き返したという仕上がり。馬格だけでいえば抜けている、というのがパドックでの率直な感想でした。テンションと距離が心配されていましたが、いずれも許容できる状況にあったと思っています。

明確な敗因はないというべきでしょうか。仕上げが100%でなく、1番枠から1コーナーまでにできることは限られていて、2着に残した逃げ馬の直後に入らざるを得なかったこと。複合要因というのがいまいまの見解です。

というより、この馬の全開の走りにまだお目にかかっていないと思っていまして。過去に、余裕たっぷりでトライアルを勝ってきたものの肝心のG1で出し尽くせない、というケースはいくつも観てきていますので。ダノンプレミアムを本命に推し切れなかったのは、この点が最後まで引っかかっていたと振り返っているところです。

進路が開けてから前を追い詰める脚色を見る限り、これ以上の距離延長は難しいでしょうか。そして最適な条件はどこでしょう。この謎を手探りする秋になるように思っています。…案外、ダートで先行する方向に磨きをかけても面白いのかもしれません。フェブラリーSを圧倒的なフィジカルで逃げ切る、というのも悪くないような気がしています。

鞍上についても少しだけ。ゴール後にすっと握手を求めに行く姿。2年前は立場が逆だったなぁと、感慨深く眺めておりました。スポーツマンシップを象徴する瞬間。…勝利ジョッキーのもたもたする間がもう少し長かったら、スポーツニュースで取り上げにくかったかもしれませんねw


ブラストワンピース

本命でした。ゆりかもめ賞の脚色、そして毎日杯の先行策チャレンジ。極端な有利不利のない枠を引いたこと、そして当日のパドックで確認した馬体のスケール感、このあたりを加味して本命を託した次第です。

やっぱり出遅れが悔やまれますね。もし五分にスタートをでていたら。コズミックフォースの外を通ってワグネリアンのポジションが取れたのではないでしょうか。その場合、並走では大回りになるでしょうから、ワグネリアンはブラストのひとつ後ろに構えていたかもしれません。果たして、その位置関係からワグネリアンの直線の進路は。…いやー、実にたらればですね。

秋は菊でしょうか。腰に疲れがでやすいというウィークポイントがこの異例のローテーションを生んだわけですが、夏を越して解消されてくるようなら楽しみも増すなぁと思っています。


ローテーションの妙

今回は皐月賞もダービートライアルも踏まずに本番を迎えた馬が1、2番人気。これもまた異例でした。結果が伴わなかったことで王道のデータは保たれたと思いますが、今後もこうした変則ローテへのトライはタブー視されずに続いてほしいと思っています。変則ローテが望ましいのではなく、個体に合わせたレース間隔を望みたいですね。

その場合観ている側には、是非を測る尺度が乏しくなってしまうわけですが、いやいや、今年の予想、面白かったですよね。定石に沿うのか、背を向けるのか。事前の議論やイメージが多岐にわたるのはとてもよいことと感じます。きっとそれぞれの本命を否定しにくくなりますからね。

ダノンの仕上がり、ブラストのゲート。休み明けの影響をうんぬんするのであればここでしょう。ただ、こうした影響を跳ね返すダービー馬が現れるかもしれません。そうした例外を見極めて重い印を打つのが、個人的には最もアガる瞬間です。予想の醍醐味でしょう。


ワグネリアンの適性

マカヒキも悩ましかったですが、ワグネリアンはどうするのでしょう。とりあえず菊ではない、との報道がありました。暮れは香港?来春はドバイ?大阪杯?個人的には来年の安田記念で観てみたいと思っていますが、それもベストかというと、ねぇ。

他馬より傑出した能力があってダービーを制する馬ばかりではない、という理解はもちつつも、今後のローテーションが若干迷走しそうな予感があります。ひとまわり馬格が大きくなるようなら、この見立ても変わりそうですが、何といいますか、完成度でダービーを制した面もありそうで。

うーん、阪神1600でG1があれば面白いのかな。あ、でもそれは中京のデビュー戦をトレースした感じになりますか。…本格的にひとりごとになってきましたねw


レース後の故障

キタノコマンドールが浅屈腱炎、グレイルが剥離骨折。どちらも右前のようです。キタノコマンドールは1年以上かかる見立て。トレーナーが「重篤」という表現を用いていました。目黒記念にでたサウンズオブアースも球節の腫れで宝塚記念を回避。

速い馬場に原因を求めるのは端的が過ぎるといいますか、でも的外れではないとも思う次第です。レースのレベルが上がるほど、スピードの維持や勝負どころの加速に相応の負荷が生じるでしょう。ケガを負わずにその衝撃や負荷を支えるには、しっかり鍛えて十分な張りをもちつつ、疲れを残していない、きちんとコンディショニングされた筋肉が必要と思っています。

パドックでの見立てですが、キタノは動きに硬さが見られ、一方のグレイルはまだ完成途上の馬体。いずれも厳しいレースを乗り切るには少し充実度に欠けていたのかもしれません。でも、じゃあ事前に回避とはいかないですし、直前の動きも十分なそれでしたからね。

相応の心身の仕上がりがないと大レースでのダメージはかえって膨らんでしまう、という認識は以前からもっております。それだけ厳しいんですよね、きっと。


気になった人馬

ステイフーリッシュは10着。前に行きたかったが、という鞍上のコメントは1コーナーまでの攻防で後れを取ったことを示しているのでしょう。上がりはワグネリアンと一緒ですからね。京都新聞杯のパフォーマンスからして、この夏でばっちり充電できれば楽しみな存在になるかもしれません。

ステルヴィオも外枠と脚質から、1コーナーで勝機がなくなってしまったのだと理解しています。その後は直線でどれだけ交わせるか、というルメールの誘導。よく勝ち馬とコンマ4秒まで詰めてきました。

エタリオウは善戦の4着。ボウマンは思い切って待機策にでました。前走青葉賞は好位追走。直線少しふわっとしたところをゴーフォザサミットに差されていましたから、ここで戦略を切り替えてくるのは妥当な判断ですね。

 

最後に

ダービーが終わると脱力感がありますね。それだけではなさそうですが、一週間体調が低空飛行でした。そうこうしているうちにクラックスマンがコロネーションカップを勝ち、英オークスも未勝利馬フォーエバートゥギャザーが力強く抜け出していまして。競馬のカレンダーはどんどん進んでいきますね。

安田記念はどうしましょう。週中はそこそこ雨の多い状況でしたから、土日のコンディションを見極めないといけませんね。あとは展開。逃げ馬はイコールスワーヴリチャードの前でしょうから、相応にスローだと前が詰まることも予測しておく必要があるかもしれません。前々で進めるのはアエロリット、ウインガニオンあたりかしら。どちらも強く主張するタイプでない鞍上なのがポイントになる予感がございます。

いまのところはサトノアレス、リスグラシュー、サングレーザーが気になっていますが、まだまだ。今春の府中ラストG1、じっくり堪能したいと思っています。