more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第45回 エリザベス女王杯

ラッキーライラック、4度目のG1は同一G1連覇となりました。

4コーナーで内へ覆いかぶせるように進出してくる姿に、強い馬は外枠も内目有利も関係ないなぁと思っておりました。自分はリアアメリア本命でイメージに近しいポジションを取りに行った川田によしよしと賛意を送っていたのですが、手応えの差は歴然としていました。大外枠、立ち回り難しいと読んだんですけどね。

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2020年エリザベス女王杯、4コーナーで外から進出するラッキーライラック

コーナー通過順は12-12-11-3。父オルフェーヴルのラストラン、有馬記念の通過順は13-13-12-2。細かい相違はもちろんですが、ストロングポイントを活かそうとすると似た数値に落ち着くのは、あるいは血統なのかもしれません。

乗り替わりのルメールは一発回答。乗り替わりでの1番人気はプレッシャーがかかるはずですが、この秋だとアーモンドアイとの比較になってしまいますよね。あの天皇賞を乗り切ったルメールですから、相対的に冷静さを保って臨めていたように見えました。

石橋脩やミルコがなかなかに苦しんでいた乗り難しさも、評価を上げられない要因になっていましたが、そういう意味での一発回答、恐れ入りました。

公式レースラップ

12.6-11.1-11.2-12.3-12.1-12.0-12.2-12.0-11.9-11.1-11.8

クッション値と含水率

2020-10-15 阪神芝コース
クッション値 9.8
含水率:ゴール前 8.6
含水率:4コーナー 8.9

この秋の阪神は速めの馬場

デイリー杯2歳Sでレコードがでたように、京都の代替としての11月阪神開催は比較的速い馬場で推移しているようです。クッション値は金土日と9.8。土日の含水率はゴール前で9.6→8.6、4コーナーで9.2→8.9。降雨がないことと合わせると、この推移はじりじりと水分が抜け馬場が引き締まっているように感じさせます。

ノームコアの逃げは結果論と推察

ウインマイティー、ウインマリリン、あるいはウラヌスチャームなどと予想されていた先行争い。ゲートが開いてみると、序盤のダッシュはわずかにノームコア、リアアメリアが上回る展開。2ハロン目11.1に向けた加速の中で、ウインマイティー和田、ウインマリリン横山武史はペースを深追いしない判断へ早いタイミングで切り替えました。

ウラヌスチャーム斎藤は出負け気味かつ鞭で促しても反応は鈍く。外枠のエスポワールやミスニューヨークも逃げる意思はなかったでしょう。かくしてノームコアは押し出される格好に。

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2020年エリザベス女王杯、スタート後押し出されたノームコア

mahmoudさんが公式レースラップに疑問を呈していました。ご本人が言うところの「独り歩きしないことを願って」に叶っているかあまり自信はありませんが、そのツイート、引用いたします。

 

さすがに自分も3ハロン目の11.2は「そんなに速かったか?」と思っておりました。4ハロン目に急減速していますしね。このラップが正だと、もっと馬群との距離なり、各馬の手綱の引き方なりにわかりやすい変化が見て取れるはずです。

前半5ハロンについて、mahmoudさんの計測と公式を順に並べてみます。

12.5-11.1-11.6-12.0-12.1
12.6-11.1-11.2-12.3-12.1

四捨五入や切り捨ての計算方法で、0.1くらいはズレるでしょう。厳密に把握するなら風の影響なりを考慮する必要があると理解していますが、ここではおおよその差異から概要を捉えることを重視しますね。

mahmoudさんのラップと手綱の動きを合わせると、1コーナーに入る前からスピードの制御は効いていたことが窺えます。徐々に12秒に落としていますよね。

その後は残り600までほぼ12.0というイーブンペースを継続しているのですが、この12.0自体はノームコアのこれまでから見て、無理をしないと維持できないスピードではないと推察します。

ポイントはこのラップが力みながら刻まれたことでしょう。何度も手綱を引いてなだめる場面がありました。

終始力みながら、札幌記念より少し速い道中のラップを計時したものと思われます。さらに初めてG1で逃げ、前走からの距離延長。…こうして列挙すると不利な条件は重なっていましたね。

スタートから1コーナーまでの間、逃げる意思を示す人馬がいないと察した時点から、今度はノームコアがリラックスする方法を探したのでしょう。その結果、1、2コーナー分の距離を費やして、単騎逃げで落ち着かせるという選択に至ったのではないでしょう。途中からかかった、という端的な結論ではないと思っています。

ラッキーライラックは中団の外目で折り合う戦略

ペースの如何を見ながら判断することにはなったのでしょうが、ルメールは中団の外目を追走するイメージで、それをしっかり実行に移していたように見えています。レース序盤、早めに馬群へ馬を収めたのがその後の展開に不利をもたらさないポイントだったでしょう。武豊のひとつ後ろに位置取りしたかったのかもしれません。

ただ、うーん、手応えの差があったにせよ、スタート間もなく少しラフにウラヌスチャームの前を横切ったあたりはもう少しジェントルに振舞えたのではと思っているところです。

どこまで斎藤の挙動が見えていたかはわかりませんが、ちょっと確信犯でねじ込んだようにも見えていまして。リーディングジョッキーが勝てば官軍、みたいに見えてしまいますから、あまりいい印象がない場面でした。

ルメールとスミヨンの追い方の違いについての個人的解釈

ルメールは直線に向いてゆっくり追い出しを我慢し、ひとつひとつアクションを大きくしていって、残り200を合図に逆鞭に持ち替え、その様子を鞍下の視野に入れながらの左鞭。直線のスパート時に強い癖を出してきた馬に、丁寧にひとつひとつ合図を提示しているように見えました。結果、まっすぐ走っていましたね。

このあたりは佐藤哲三氏の指摘が面白く。netkeibaの有料記事なのですが、冒頭部分は無料でも読めますので、そこから若干の抜粋を。

news.netkeiba.com

アブミで受け取るメッセージがある、という話。「足の裏から伝わって来るもので、この馬はこういう馬なんだなと感じることもたくさんある」。体験乗馬程度しか実際を知らない自分では感じ取れない世界でしょうね。

有料部分はざっくり。昨年乗ったスミヨンとはアプローチが異なるとのこと。こちらで解釈した限り、スミヨンは出た癖に対して物理的な刺激(ハミや重心移動)でカウンターを当てて走らせるタイプ、一方のルメールは癖が出ないよう手探りしたり癖がでても力で逆らうことを優先しないタイプ、という分け方になるのかな。あくまで一読者の解釈ですので、詳細は実コラムでご確認ください。

上記コラムでは、そのためにアブミからの刺激をよく感じ取っていたのでは、という指摘がなされています。真偽のほどは確認できませんが、人馬のコンタクトポイントですからそこで感じ取れることは少なくない影響があるのでしょう。

アブミつながりで武豊のアブミプロジェクトへ連想ゲーム

武豊のアブミ開発のプロジェクトが脳内でつながりました。ずっとツイッターで追いかけていましたね。武豊はきっとルメール寄りの対応をしていると想像しますので、アブミの履きやすさでまた感度の高い騎乗ができるようになるのかもしれません。記事は今年だけで9回投稿されていますが(11/22現在)、一番端的にわかりやすいのは3番目かな、ということでご紹介。まだご存じない方は是非。

goetheweb.jp

次走は有馬記念

すでに有馬記念に向かうことが発表されています。ジャパンカップがクローズアップされた分どうなるかと思いましたが、フィエールマン、クロノジェネシス、ラヴズオンリーユーなどG1馬の参戦が発表されており、物凄く淋しいギャップを感じずには済みそうですね。いや、さすがにこのままいけば、今年のチャンピオン決定戦はジャパンカップですものね。

G1・4勝の牝馬有馬記念に参戦するのはここ10年ではアーモンドアイ、ジェンティルドンナくらいでしょうか。3冠馬を除いてカウントするとメジロドーベルまで遡ってしまいそうです。番組上、活躍する牝馬の中山実績ってどうしても偏るんですよね。牝馬限定G1がありませんので、ホープフルS皐月賞有馬記念のいずれかにチャレンジしないとまず実績がないわけです。

ラッキーライラック有馬記念初参戦。中山記念で2着2回ですので、得手不得手を議論する必要はなさそうですね。

サラキアは北村友一が2着へ押し上げる

一瞬しか切れる脚がない、という主旨のコメントがでていましたが、なかなかどうして、府中牝馬Sで見せた末脚は一瞬の切れで表現する類の内容ではなかったでしょう。注意はしていたのですがラッキーライラックとの組み合わせで馬券を買うには至りませんでした。

…お恥ずかしながら、POG指名馬なんですよね。3歳当時はまさに息の長さで負けていた印象がありまして、どのくらいパフォーマンスがあがってくるのだろうと、あまり期待せずに見守っていたのですが。春のエプソムカップからは雲泥の差。すばらしいパフォーマンスでした。

リアアメリアは切れ味を活かせず

もっとスローになると想定し、川田が前々のポジションを取りに行く意思を示すと読んで、本命視しました。ローズSに近しい展開を期待したのですが、仮にそうなったとしても厳しかったように思っています。

馬場は向いたでしょうし、調子もキープはできていた認識。G1の厳しいラップでは持ち味を活かせなかったと受け取っています。残念。願望込みでしたね。

最後に

週中は忙しく、とても忙しく、イメージをまとめる時間の捻出より心身を休める方を優先していました。この土曜は奥さん孝行を優先していましたしね。ようやく自分のイメージを言葉にする作業に取り掛かれました。

とはいえもうマイルチャンピオンシップなんですよね。週中にワクワクするのが競馬の醍醐味なので、それを解しない諸所の状況が無粋ということなのでしょう。とか書いていると多方面からいろいろ言われそうですが。。。

そうそう、先週土曜は武蔵野Sを現地観戦しておりました。よいことはあるもので、悪友といっしょに指定席の抽選突破。府中のパドックで久しぶりに顔を合わせることになりました。コロナ禍もありましたので久しぶりになりましたね。揃ってサンライズノヴァを外した話などは、年内どこかで書けるかな。書いておきたいと思っています。