274票中271票、圧倒的な大差でリスグラシューに決まりました。
JRAの発表はこちら。
日本のG1を2勝、そのいずれも牡馬相手の戴冠、そしてコックスプレートを1番人気で制している点は過去にない戦歴ですし、評価されるべきポイントでしょう。2019年のG1ホースをまとめて退けた有馬記念、国内的にはこのインパクトが大きかったでしょうね。記憶の新しさも手伝って票が伸びた面もあるのでしょうが、納得できる結果となりました。
アーモンドアイは無冠
現行のルールですと、いわゆる部門賞(最優秀〇〇)を獲得していることが年度代表馬選出の条件、のはずですので、リスグラシューが最優秀4歳以上牝馬を受賞した時点で、特別賞以外の受賞はなくなったわけです。あの天皇賞秋が表彰されないのは何とももったいないですけどね。有馬記念が惜敗だったら、あるいは安田記念を制していたら、特別賞の機運もあったかもしれないなと思いつつ、レース数を厳選した結果1回の取りこぼしが大きく響いた印象をもっています。
最優秀3歳牡馬が悩ましい
昨年も同じ見出しで書いておりますが、ルヴァンスレーヴをクリソベリルに置き換えれば、ダート戦歴の表彰のあり方についての問題提起が成立する状況です。
ただ、今年は古馬相手に成績を収めた2頭がおりますので、現行の選出方法で評価されにくいのはやむを得ないのだろうと思ってはいます。決して3歳で強かったダートホースの評価を諦めたつもりはないのですけどね。ルヴァンスレーヴ、クリソベリルの戦歴を年度表彰できない選定プロセスには変わらず疑問を呈したまま、ということです。だって、ねぇ、素晴らしい戦歴とパフォーマンスじゃないですか。ちゃんとダート戦を評価したいものです。
そして、サートゥルナーリアとアドマイヤマーズ。個人的には有馬記念2着を最後の決め手にサートゥルナーリアで納得なのですが、史上初の3歳での制覇となった香港マイルを評価できないのは、ちょっと残念ですね。
直接対決となった皐月賞で、人気、着順とも上回ったこと。世代限定のG2、G3での戦歴の差。このあたりもサートゥルナーリアで納得している理由ではありますね。香港マイルで、力を出し切ったインディチャンプに勝ち切っていたら、また違う心象だったかもしれません。
…G2でなければな、と思うのは神戸新聞杯なんですけどね。あのパフォーマンスは本当に素晴らしかったですね。
最優秀4歳以上牡馬もなかなか
これも昨年と同じ見出しをあえて使ってみたのですが、抱えている問題はいっしょですね。ファインニードルをインディチャンプに置き換えられてしまうわけで。昨年より若干僅差ではありましたけどね。
ウインブライトの香港でのパフォーマンスを評価しないわけではないのですが、アーモンドアイ参戦の結果手薄になった香港カップ(有力馬はヴァースに流れ、その後アーモンドアイは回避)を、安田記念やマイルチャンピオンシップより上位には取りにくく。。。
昨年、「最優秀短距離馬に票をいれたので、別の馬とその関係者も表彰してあげたいという心情論」という表現をしていたのですが、このバイアスが疑われる状況はやめにしたいですね。さすがに内向きに過ぎますので。
あるいは、最優秀スプリンターと最優秀マイラーを分けて表彰し(表彰部門の純増で表彰される関係者が増える可能性をつくる)、両部門の受賞馬はその他の部門賞と重複して表彰されない、というルールに組み替えてしまった方がすっきりする気がします。
最優秀2歳牡馬は納得
こちらは思った以上に差が開きました。コントレイル197票、サリオス77票。朝日杯軽視という類の反応も目にしましたが、ホープフルSが定着してきたことの証なのでしょう。
サリオスが劣っているとは全然思いませんが、ホープフルSの方がメンバーが揃っていた、というのが投票結果に対する自分なりの見立てです。いずれにしても、朝日杯とホープフルSのどちらがより内容があったのか、それを投票することになるわけで、投票者ひとりひとりの基準や心象がしっかり反映するのはよい傾向だなと思っています。
投票基準のアイデア
以下、こんな基準に変えたらいかがでしょう、というアイデアです。昨年から微調整しています。…継ぎ足し継ぎ足し、秘伝のたれのようになっていますね。
- 獲得賞金はオープン競走の獲得賞金の合計で算出(地方、海外はどうしましょうね)
- 短距離の距離区分をスプリントとマイルに分けて再定義(「SMILE」のうち「S」と「M」)
- 該当馬が1頭の場合は自動選出
- スプリント部門とマイル部門の受賞馬は、その他の部門表彰と重複して選出されない
- 該当馬が複数の場合は記者による決選投票
- 年度代表馬はファン投票(各部門賞選出とは別扱い)
相変わらず、海外G1勝利をどう評価するかは不明確なままになってしまいますけどね。選定にあたり、どのくらい「ひとの任意性」を残すかが、こうした基準を面白く機能させるうえで重要と思っています。
例えば、表彰のために国際レーティングを参照するのは、たいがいの場合改悪につながるのではないかなと思っていたり。数値化されているものが客観的である、というのはもっともらしく響いてしまいますからね。
「該当馬なし」はNGで
いろんな投票があってよい、という鷹揚な意見は毎年いずれかで目にしますが、いや自分もその立場に近いのですが、さすがに現行ルールで「該当馬なし」は避けていただきたいところです。
その年の最優秀を相対評価で選ぶわけですから、誰と比べているのかという話になるわけで。毎年、各部門に該当するG1ホースは誕生しますからね。先の自分の案はこうした任意性が強く働き過ぎている部分を抑えることになるんじゃないかしら、というアイデアでもあります。
最後に
クラシックな価値観はなかなか変更のタイミングが難しいと思いつつも、時代の変化に対応していって初めて歴史を刻むことができるものと思います。スプリントとマイルを分ける、というのもすっかりくたびれ果てた議論に見えますけどね、問われる資質が異なるものにしっかり区切り線を引くこと、ここは諦めないことが肝要でしょう。
繰り返し訴えることがよいのかな。…いつの時代も、こうやってうるさいおっさんが出来上がっていくのかもしれませんね。